ラピスラズリ⑩【0048】 (ページ7)

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総選挙って、こんなにも。まだ呼ばれないことに罪悪感を抱くなんて、自分は何様のつもりだったんだろう。お父様の力で私のファンが増えた。WOTAも増えた。

モノレールの吊り広告も、都心のモニターでも。自分の姿を多く見かけるようになった。今は、みんなが私を求めてくれている。……でも、私はそれを受け入れられない。だって速報9位になれたのはゾディアックが手を回したからだ。私の力じゃない。父親の力。今更何を言ってるの？

「「「智恵理ーーー！！」」」

やめたくない、やめたくないよ。選抜のステージに立ちたい。襲名したい。凪沙たちと夢を追いかけたい。同期のみんなや、彼方さん美森さんとも。これからも一緒にいたい。ファンに会いに行きたい、愛を歌いたい。

腕をクロスして反対側の肩を触る。涙が出てきた。……その直後、背中から名前を呼ばれる。一人が智恵理と叫べば、他のファンの人たちも続く。振り返ると『絶対選抜園智恵理♡』と書いた大きな横断幕が見えた。

『ファンの愛は本物だよ』

昨日、Aに言われたことが頭によぎる。脳内で再生された。智恵理、智恵理。……みんな。私に票を入れてくれたのは、たとえどんな過程があろうとも。私を好きになってくれた、愛してくれた人たち。

お仕事が増えたのは、正規の筋道では無かったかもしれない。でも……愛は、みんなからの愛「は」紛れもない本物。彼女の言うとおりだった。

『それでは続きまして、第6位の発表です』

「！」

声が静まる。壇上の選抜の席、前から二列目は……真ん中のあとひとつ。向かって左側には10位の佐江さんと8位のともちんさん、右側には9位のAと7位のこじはるさんが座っている。

誰だろう。6位も、その上も。そしてセンターになるのは誰なんだろう。緊張が張り詰める。膝に顔を伏せるみたいに背中を丸めた。私の、私なんかの……。

「智恵理？どうしたの！？」

凪沙が私の肩に触れる。さっきまでは打って変わってキラキラした目で総選挙を見ていたのに。彼女は6位の発表よりも、身体を震わせる私のことを気にしてくれるんだ。

ふふ、凪沙はやっぱり優しいね。

「こんなに……こんなに凄い場所で、こんなに素晴らしい場所で。…………私の、卒業なんて」

「え、卒業って。……智恵理？」

この重圧に、もう耐えられない。

『第6位！ ……………第77期研究生、』

「「「ええっ………！？」」」

『園智恵理！』(♪夢は以下略サビ

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