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先生は00を卒業し、次の道を歩もうと決めた。そのときにはまだ考えもつかなかったはずだ。まさか未来では劇場に戻り、今度は裏方としてメンバーを支えるなんて。
たかみなさん達というかつての仲間と、次代の大島優子。今の00にダンスを教えるようになってからは初めてのライブでもある。自分が踊るわけじゃないのにどこか緊張している。元メンバーにしか分からないものがあるんだろう。
「本当ならゆっくりライブを見守りたいところだけど……ツバサから、私も戦闘チームって言われちゃった。柳川たちと一緒にLASに搭乗して、ライブの護衛をしろってさ」
「こちらは頼もしいです。8代目ゆうこさんと5代目みぃちゃんの操縦テクニックは00屈指と言われていますもんね」
「…………。
みぃちゃんも、8代目ゆうこも。もう卒業して随分経っている。それでも5代目みぃちゃんは私にとっていちばん輝いている星で、推しであることを伝えた。すると、先生は一瞬だけ目を見開く。
そんなに意外？ たしかに以前、たかみなさん達からも私なら13代目あっちゃんの世代だと言われたけれど。でも私の好きな人は彼女なのだ。【峯岸みなみ】という名前も、私にとっては特別なもの。それは何があっても変わらない。
「そうだね。65期には莉乃や志津香、ほかにも目立ったメンバーが多かった。……その中でも、みなみは別格。あの子はアイドルになるために生まれてきたと思う」
オリジナル峯岸みなみ。私にとっては憧れているひとり。ファンとして、研究生として。彼女のことも調べたことがある。
人数の多いAKBでみんなと同じではダメだ、そう思って自分のポジションを作ろうとした。峯岸みなみさんというメンバーと歴代の襲名は、知名度の割に前には立てない人たちだった。
彼女たちの意志を継いだのが美果子さん。加入して約三ヶ月、お披露目からふた月も経過していなかった。まずここでひとつ。(5代目みぃちゃんの)襲名は、過去のAKBを合わせても歴代最速となる。以前の最速は、4代目
「前に立てない【峯岸みなみ】が、センターノヴァになった。総選挙も三連覇した。前代未聞をいくつも産んだ。みなみのファンが00にいても不思議じゃないね」
「………みぃちゃんのことは『みなみ』呼びなんですね」
「ん？ あー……」
あの子は幼馴染でもあるから。
そう言う先生の笑顔は、どこか嘘っぽく見えた。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
