489# 広がるばかり／XVIII ページ39
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MVの撮影、バラエティの収録、雑誌の取材……。今日も朝から晩までの過密スケジュール。選抜メンバーの移動は基本バス。次の現場に向かう車内では、ツバサとA以外が寝息を立てている。
Aも眠れたらいいのだが……いかんせん、彼女は日中の寝付きが悪い。やっと眠気が来たところで到着、なんてのは容易に考えられた。そのため総選挙後は21時を過ぎたらベッドで目を閉じる。そんな生活。
優子とともちん、ゆきりんとまゆゆ、美森と智恵理。周りは座席が隣のメンバーと寄り添うように仮眠する中、Aはイヤホンをして手振りのみの自主練。ちなみに隣はたかみな。肘置きを退かして、Aの膝に頭を乗せて寝ていた。
………………その頃、寮に残る77期生。凪沙と友歌、織音、真琴はゆっくりお風呂に浸かっていた。真琴は依然00にいる。気にする必要ない、と友歌が引き止めたことが大きい。
「今日も選抜メンバーは大忙しだね〜……」
「選抜シングルの発売……、もうすぐだもんね」
それに比べて、選ばれなかった研究生はずっと振り練習。今のところレッスンが三日あるなら、二日は牛山、一日は咲和にあたっていた。友歌は「差ぁ着いちゃったな、二人と」と零す。
Aがあの日真琴に言ったことはムカつく。けれど、総選挙に望む姿勢や結果を見たら……。言い返せる立場じゃない。
こうしている間にも智恵理は更に先へ行ってしまう。それと同時に、Aとは顔を合わせる機会が殆どない。朝はバタバタして、帰ったと思えば夕食と入浴を済ませてさっさと寝る。時間が経ち、織音以外は何故か気まずささえ感じていた。
「選抜と、非選抜かぁ……。それに、」
彼女たちが俯く理由はもうひとつあった。今、ここに鈴子と楚方はいない。初参加で選抜を果たしたともちん、佐江、ぱるる。彼女たちを始めとした五人のメンバーに、アンダーがつくことが発表されたからだ。
だが、8位のともちん。そして10位の佐江。この二人に関してはダンスはより注目される。未熟なメンバーに任せるなら比較されて、最悪叩かれる。それが考慮された結果、ともちんのアンダーは梅ちゃんが、佐江のアンダーはきたりえが務めることに。
……選抜落ちの次は、後輩のアンダー。思うことは色々あるだろう。それでもステージに立ち、ファンのために。文句を言わず練習する。
残り三人は12位のゆいはん、14位のぱるる。そして………根強い人気を誇る5位のまゆゆ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
