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別にいい。順位を決められるのは怖い。私も、微塵もなかったと言えば嘘になる。だから諦めるのも、バンジージャンプしないのも真琴の勝手。彼女がマイナス思考なのは知っている。恐怖を乗り越えるのはとても難しい。
私もそうだった。母に見放されたくない、それと同時に。あの人の視界の中はとても怖かった。思ってることと逆のことをしてしまう。襲名を目指したりライブはしたい、だけど人目に晒される
真琴は、昔の私に類似するところがある。だからいちいち発言が気になる。弱音を吐く暇があるなら動け。誰かが推してくれる自分を、自分で否定しないでほしい。勿論これは私のエゴ。
「変わらず言い訳するのも自由。辞めずに続けるのも真琴の勝手。……でも『無理』だから、ファンにもらった愛に応える努力をしないなら。私は真琴を軽蔑する」
「…………。真琴には悪いけど、今のAの方がいいよ。言葉は厳しいけれど間違ってるとは思わない」
「智恵理……」
ツバサさんから注意を受けてからは日常生活でもこんな感じ。さすがに今日みたいなことは何度もないよ。同期にも言いたいことが言えるようになってからは初めてだ。
だって……ねえ？ 同期はいつまでも同期。家族同様に切り離せる縁じゃない。彼女たちと不仲になるのは、できたら避けたい。……ま、さっき現実になっちゃったんだけど。
仲が悪いよりは良い方がいい。けれども、そのために00に入ったわけじゃない。友達や仲間ならネットで足りる。
もし、どちらかしか叶わないとき。夢か仲間なら夢をとるし、仲間かファンならファンをとる。私は「酷い奴」？ そう思うのも人によるだろう。それでアンチに目をつけられようが痛くも痒くもない。万人受けする人間なんて居ないのだ。私にとっては当たり前のこと。
「織音」
「？」
「ひとつ、頼んでもいい？」
顔の正面を避けてお願いポーズ。これには、織音だけではなく智恵理も。頭上にクエスチョンマークを浮かべていた。
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『頼み』の後、加えるように言った。葵平先生のレッスンはたしかに厳しい。でも、それは研究生のためだよ。
織音たちにもメリットはある。パフォーマンスが大きく成長すれば、リエンヌさんのようにいつかアンダーを任されるかもしれない。襲名にもグンと近づく。
「欲しいものはタダで手に入らないし、望むだけじゃ叶わない。『ライブがしたい』なら必死に食らいつけ」
そうすれば、繋がる。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
