483# いい加減にして ページ33
▼Orine
総選挙から一週間。週末の夜。
Aがそれを放ったとき、空気が止まった。
「『無理』なんでしょ。なら辞めたら？」
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選抜入りした智恵理とAは普段の襲名メンバーと同様に、一日ずっと分刻みのスケジュールで。バラエティの収録や通常のレッスンのみのわたしたちよりも間違いなく疲れていると思う。
だから、いつもぐらい冷静ではなかった。カチンと来てしまったのかもしれない。そういえば、わたしは聞いたことがなかった。Aが……愚痴なんかを言うところ。
本日のダンスレッスン。担当は牛山先生ではない。最近入ったという新しい先生。Aや智恵理、美森さん抜きの7人で開始。教えている人が違うのもあるかもしれないけれど、今日は数倍ハードに感じた。
やばい。超疲れた。牛山先生よりも厳しかった。呼ばれる度にビクってしちゃう。オンオフ違いすぎる。鬼だよ。主に友歌や真琴、楚方がリビングで感想を零す。真琴も「無理」と、そう言ったところで帰宅したAたちが立ち寄ってしまい、今に至る。
「真琴の弱音、そろそろ聞き飽きちゃったしさ。活動を辞退するなら早い方がいいよ。次のライブがいつか分からないし。振り付け覚え直すとか、みんなに迷惑だもん」
涼しい声と、この場に似合わない微笑み。まるで藍花星ライブのとき、声が出なくなった凪沙に言ったときのように。
美森さんがAを呼ぶそれには応じない。スン、とむしろ笑顔を消してしまう。対して、すっかり怯んでしまって言い返せない真琴。代わりに友歌がそうしたら。
「友歌は関係ない。引っ込んでて」
「関係あるよ！ 私たちは同期で友達で仲間。なのに……どうしてそんな酷いこと言えんのっ」
「『酷い』……？」
Aは友歌の言ったことが分からないようだった。呆れるみたいに長い溜息をつく。真琴は友歌を止める。Aをイラつかせている自分が悪いから。……するとAは「話にならん」。
その一言と欠伸を残して、部屋を出ていってしまった。
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□総選挙
実は佐江を10位と書いた時点でミスがありました。#18「禁じられた星」は77期のみ完全に別行動です。Aさんは選抜メンバー、それも10位以内。同期と行動できません
それでも裁判同様ねじ込まなければ。というわけで、衝突させたわけです。真琴推しの方、気を悪くさせたら申し訳ありません。まあでも織音・凪沙・智恵理の成長過程にもねじ込んできました。今度は真琴の番というだけです
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
