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更に。先輩だけじゃない。Aも智恵理も、とてもキラキラして見えた。凪沙が「二人ともすっごくかっこよかった！」と絶賛すれば、智恵理は照れて顔を赤くする。
飾らない、ストレートな褒め言葉。良いと思ったものを素直に口にする凪沙らしい。
「でもね。だからこそね、このままじゃ終われない」
「凪沙？」
「ここから始まるんだ。……智恵理！」
「！」
凪沙は両の手で、智恵理の両手も掴む。突然のことに智恵理は驚き顔をする。彼女の正面にある凪沙は……弱さを感じない、真剣でこれからが楽しみといった表情で。あまり見たことがない。
そして、かつては自身が言ったあの言葉を。
「わたしは強敵だよ」
「！ ……………凪沙」
本気になるのが遅い。Aがこの場にいたなら、そう言うかもしれない。……でも、智恵理にとっては。二人のキララが頭上で光り輝く。そこへ立ち寄ったのは…………優子。
取材を一通り受け、少し休憩しようと一人になれる場所を探していたところに凪沙と智恵理、そして輝きを目にした。彼女は目を見開いた。その光は、とあるメンバーを彷彿とさせる。
「あっちゃん……」
優子は片手を握り、胸に着ける。
二人を見つめる彼女のキララもまばゆく光り輝いた。
..
同時刻。場所は変わり、とある通路。選抜を逃したメンバー……6代目しーちゃん。先程までは同じく入れなかった9代目もっちぃと一緒だったが、現在は一人らしい。彼女は携帯に電源を入れる。
タップやスクロールをした後に片方の耳にあてた。プルル、プルル。コール音は3。相手が『はい』と出る。
「総選挙、観てた？」
『うん。可愛い後輩、才加がやっと選抜に入れて嬉しかったな。……志津香は？ 大丈夫？』
「んー……手を抜いたつもりはないんだけどね。強がりじゃないよ。下の子たちが認められるのは嬉しいし」
うちら三人が経験した一番の悲しみに比べたらマシ。
だって、うちがまだ……一人になっても00にいる理由は。
『一言もなしに卒業して、何年も音信不通。それなのにグラビア撮影でカメラマン？ 何食わぬ顔で現れて、志津香のこと知らんぷりだったんでしょ？ ツバサに聞いた。一発ぶん殴ってやればよかったのに』
「相変わらず野蛮。そんなことできないよ。美果子ちゃんは親友だし。何か事情が、」
『私は！ ……もうあいつをそう思ってない』
「咲和ちゃん……」
なんだかまた、一波乱。
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咲和：サワ、サヨリ。好きな方で
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年7月13日 21時
