ラピスラズリ⑩【0048】 (ページ13)

今日:6 hit、昨日:8 hit、合計:7,962 hit

463# 総選挙1位の輝きページ13

..

1位は、9代目大島優子。トクサンが言えば、曲が流れる。『ヘビーローテーション』だ。最初のイントロを飛ばしていきなり歌詞から。楽しい音楽の中で優子はずっと結んでいた口元を緩めて、この会場で初めて笑顔を浮かべた。

心の底から嬉しい。目には涙もある。彼女はすくりと立つと声援が聞こえる観客席に振り返り、両腕をあげた。万歳をして喜ぶ優子に、ファンは更に盛り上がる。彼女は大拍手の中で頭を下げていた。

襲名も、研究生も。祝福するように顔が綻ぶ。凪沙も「優子さん……！」と、憧れの人が頂点に立ったのを喜んだ。

『優子ちゃん。第1位、おめでとう！』

『ありがとうございます……！』

そこにはファンもアンチも、仲間もライバルも関係ない。彼女は二度目の参加。襲名してからは初めての総選挙。だけど、優子は13代目前田敦子を超えるため、最初から1位を目指していた。速報で2位に呼ばれても悔しがっていた。

ありがとう、に涙がまじる。他の13人とは異なる大きなトロフィー。00の、0と0が繋がっている形状だった。トクサンに『皆さんに挨拶を、』と促されてマイクに向き合う。

『9代目……、大島優子です。

1位……。皆さんからの愛を、これほどまで感じられる順位をいただいて……私は本当に幸せです！いつまでもこの喜びに浸っていたいですっ』

会場は「優子コール」に染められる。ゆうこ、ゆうこ……！打ち合わせしたわけでもないのに声援は揃い、束となって彼女へ送られる。その声は、たったひとりのアイドルに向けられていた。

五年ぶりの総選挙で推しメンが1位になった。しかも初めて。ファンにとって、これ以上に嬉しいことは早々ない。更には、その瞬間を会場で見られて自分たちも幸せ。そういう空気で、優子は『でも、』と再び口を開く。

『私の本当に求めるものは、まだこの喜びの先にあります！今も昔も変わらない…………私のライバルは、あっちゃん。13代目前田敦子さんです！』

「優子っ……！」

たかみなは驚き、眉を少しつりあげる。

13代目前田敦子の卒業に関しては謎が多い。00メンバーの間では日常会話でも度々話題に上がるが、メディアやファンの前ではあまり名前を出さないように。……というのが、暗黙の了解だからだ。

.

♪ヘビーローテーション(公式)
キャッチコピーは『好きな人ができると、頭の中は、ずっと、ヘビーローテーション!』。第2回選抜総選挙で1位になった大島優子の、初センター曲。