ラピスラズリ⑩【0048】 (ページ1)

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自分に投票してくれたみんなに最大限のお礼をし、嬉しい気持ちを伝えた。それと同時に。私は仲間や先輩、スタッフさんたち。日頃支えてくれる全ての人たちより前に、感謝しなければならないメンバーがいた。

それは…………最年少の同期、楚方に。

『るーりんと、最初に呼んでくれたのは楚方でした。私はもともと瑠璃川という大層な苗字も、自分のこともそんなに好きではなかったんです。00に入る前は完全に名前負けしていて……瑠璃の宝石の、幻想的で美しい青のように美人でもない。目を惹くわけでも無い』

楚方が渾名をくれたのはそんな最中。珍しくファンに浸透し、ライブや握手会で会う度にるーりん表記の応援グッズや呼んでくれる人が増えていった。

家を飛び出しても、縁が途切れるわけじゃない。両親と同じ姓(研究生)である限り、私は逃れられない。 ………………でも。私はそんな私を愛せないのに、みんなが愛してくれた。弱虫みたいにボロボロ泣いてしまう私を呼んで、応援してくれる。

今では、るーりんの元となった苗字にそこまでの嫌悪感を抱いていない。キララが輝く度、綺麗な瑠璃色に安心するようにもなった。今の私は、昔よりは好きだ。

『楚方には何気ないことだったかもしれないけれど、私にとっては衝撃的だったんだよ？あの日から、色々変わり始めた気がする。いつか言おうと思ってた。楚方、きっかけをくれて本当にありがとう。

そして、改めて皆さんに感謝を。9位という素晴らしい順位をいただけたのは推してくれるファンの方、メンバー、たくさんの方々が日頃支えてくれるからです』

今度は、私が約束する番だ。

『次回こそ神を崩してみせます！もちろん襲名も目指しますが、できてなかったらすみません。精一杯努めてまいりますので、今後も私のことを支えてください。そして、一緒に階段を登ってください。

これからも私や77期の応援をよろしくお願いします！』

マイクから一歩下がる。スピーチ後の礼をした。拍手の中で、9位の席へ向かう。階段って、この階段じゃなくて成長や次回って意味だったけれど……。私の席は観客席から見て、二列目の右端。佐江さんは反対側だ。

腰を下ろしたら、斜め前には恵さんの背中。更にはスタンバイ席にいるメンバーの顔も見えた。不安な顔は研究生だけではない。むしろ襲名メンバーの方が険しい。ここに座って初めてそれに気づいた。

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□楚方にお礼するのは書きたかったネタのひとつ。