101 ページ1
▽
「順番で行けば、76期生の方がアンダーになるのが先だと思います。どうして77期生が！？」
バッと立ち上がったのは例の恵さん。ツバサさんの采配に不満なようだ。私たちの和やかなムードは一転。智恵理は居心地が悪そうに俯いた。
……ま、こうなるよね。恵さんがそう言うのも分からなくない。他の76期生も口々に零す。そうだよね。何か違う。おかしい、と。
「アンダーは襲名と同様、在籍期間などは選考対象に入っていない。襲名と違うのは魂の資質とは関係なく、現在の実力で選んでいること」
納得がいかないのなら練習。それしかないわね。ツバサさんは一切の忖度はなくにアンダーのメンバーを選んだことを告げる。それには76期生だけではなく、私と同じく選ばれた智恵理以外の同期も眉を下げた。
ツバサさんの言う通りなら、ざっくりと私は上から4〜5番目が現状ってことか。彼方さんと美森さんの実力は身に染みて知っている。恵さんは、逆に何も知らないからこそ比較するのは失礼だろう。
..
劇場へ向かう青と黒が使われたスタイリッシュな車が一台。運転席には牛山、助手席にはツバサが座っていた。
研究生のアンダー制が復活したことを知らされた彼は、冷静に「そりゃ、あの子たちも荒れるでしょう」と言い切る。『あの子たち』がどの研究生を指すのか。はっきりとは言わない。
「昨日……先聖センセイが」
ツバサは劇場の方角を見つめながら、昨夜のことをぽつぽつ口にする。どうやら牛山は地下の神殿について周知しているらしい。
話を戻す。アンダーを指示したのは先聖センセイ。ツバサはそれが無ければ、劇場公演は襲名のみで決行予定だったかのような口振りだ。
「近頃の先聖は、今までよりも活発に意志を語られるようになったわ。それに、あの歌詞……」
「幾つ目のなんちゃら……ってやつ？」
「ええ。77期生が現れてから、まるで彼女たちに反応しているかのように歌詞が綴られるようになったわ」
「てことは………」
牛山は途中で口をとざす。車内には二人しかいないというのに歯切れが悪い。だが、まるで何かを予見しているかのような真剣な目だ。
ツバサは彼を見ない。しかしこちらも……何個か思い当たることがあるらしい。答え合わせをせずとも分かるのか。結局双方黙ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひな(プロフ) - 東雲れーたさん» わー！覚えていてくださってありがとうございます！！とてもわかりやすくて見ているこっちまで胸が暑くなったり、ちょっとヒヤヒヤしたり...これからも頑張ってください！！ (2月4日 23時) (
レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ひなさん» 確認しました。向こうにもコメントしてくれたひなさんでしたか！ 作品を跨いで気に入っていただきこちらも嬉しい気持ちでいっぱいです。場面が頭に浮かぶ、文字なのに音楽や息遣いが聞こえてくる……一応そんな文章を意識してます。今後も楽しんでもらえたら幸いです。 (2月2日 8時) (レス) id: 35709d1cf1 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - ここまで来ちゃいました！！ポケモンの作品まで書かれていたんですね....！大好きな作品だったのですぐにわかりました！文の読みやすい書き方などが大好きです😌 (2月2日 6時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - 暇っぽちゃんさん» お返事遅くなってすみません。そう言っていただけてこちらも嬉しいです。応援ありがとうございます、頑張ります！ (2022年10月15日 20時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
暇っぽちゃん(プロフ) - 久しぶりに0048の新作品があってとても嬉しいです…！！更新頑張ってください！！ (2022年10月6日 18時) (レス) @page34 id: 31b607a5e1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月17日 20時
