577# 不足のピース ページ27
▼Kanata
わたしの加入は、選抜総選挙が廃止になって数年後。メンバーは仲間、その意識が強い時代だった。「仲間でライバル」「ライブ以外のアプローチ」、それらを知らない・理解できない世代だったかもしれない。
でも、復活した。13代目あっちゃんが消える前の00の空気が戻ってきた。ファンで小さな子どもだった頃は楽しむ側だったわたし。けれど今は違う。沢山の人の視線が刺さる。楽しむ気持ちも大事だけど楽しませる側、魅せる側。
わたしが気づいたときには、美森はもう。ずっと先にいた。選抜総選挙を境に二人だけの75期は差が広がり始める。いつも笑顔で隣にいてくれた美森の背中が遠い。彼女が高熱で倒れたのは、それを感じていた最中だった。
『 一日も早く、一緒に襲名しましょう！ 』
襲名。美森の、襲名。そのお披露目が明後日に迫った。選抜総選挙のステージでトロフィーを受けとり、言われたことが頭をよぎる。美森の襲名披露公演が知らされて以来、わたしは毎晩自主練をしていた。誰よりも遅く、レッスン室にこもっていた。
だって、朝も寝る前も部屋には一人きり。11歳の妹にさえ気を使われている。俯くのはわたしだけで充分。楚方は、美森の襲名を素直に応援していればいい。
「…………不運の75期も、最後のひとりかぁ」
わたしに何が足りない？ なんで、襲名できないの。
研究生最長記録。気にしていないわけじゃない。励ましてくれるしーちゃんさん。だけど直接は聞けず、自分で調べて数えた。こんなことしても虚しいだけ。そんなの、わかっていたけれど。
75期が加入して、美森が襲名する日。しーちゃんさんの記録とは八日しか違わなかった。わたしは約一週間で襲名なんてできない。それをできるのは瑞穂だ。わたしじゃない。
考えないように踊っていた。でも、踊るのをやめた途端。そういうことをグルグルと考える。美森の襲名披露公演を控えるところに後輩が襲名する報せ。みんなの前では平静を保っていると信じたい……が。察しのいい子達にもおそらく気を使われている。
「！ うひゃあっ」
握りしめた右の拳に力をいれたとき。両頬に氷のように冷たいものが押し当てられて、飛び退く。汗をかいて体が火照っていたから余計に驚いた。
たかみなさんがレッスン室に入ってきたことも、後ろからそろりと近づいてきたことも。まったく気づいていなかった。それくらい考えに没頭していたらしい。
「あんまり根詰めないの」
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東雲れーた(プロフ) - オノマトペさん» 嬉しいご意見ありがとうございます。内容重視で準備したいと思うのでお待ちいただけたら幸いです。コンビ推しの声もありがとうございます。先輩後輩なのに遠慮せず話せる・ライバルだが仲も良い。二人の関係性は私も気に入っているので、今後ともよろしくお願いします。 (9月17日 16時) (
レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
オノマトペ(プロフ) - こ、これは…！超需要ありありだと思います！個人的には日替わりが一番楽しみですね、本編もるりめぐのところテンション上がりまくりで読んでいます。これからも更新頑張ってください！ (9月17日 13時) (レス) @page45 id: 1db5f71093 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ハルカさん» そう言っていただけてとても嬉しいです。日替わりですか、了解です！ 作成時期は今の段階では未定ですが、公開したときはこの作品の中でお知らせするので気長に待っていただけたら幸いです。 (9月16日 17時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - たるそらさん» そうですか？ 私のひらめき次第になりますが、三択とも検討してみますね。公開時はどこかで言うと思います。当時00になりたかったの激しく同意！ この夢小説を通して、たるそらさんの想いも少し叶えられていたら幸いです。こちらこそ今後もよろしくお願いします。 (9月16日 17時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 私も需要あると思います。個人的には日替わりがとっても気になります (9月15日 19時) (レス) id: f576803fcd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年8月25日 9時
