553#『会いたい』:♪大声ダイヤモンド ページ3
▽
美森さんの気持ちは痛いほど分かる。伝わってくる。……けれど、やっぱりその体じゃ最後まで踊りきれないと思う。美森さんの希望を叶えてあげたい、けれど……。
心配するはーちゃんさんの手に、美森さんは自分の手を重ねた。そして、体が辛いだろうに笑顔を浮かべて言った。
「ありがとうございます……。でもそれが、選抜の責任だと思うんです」
何があってもステージに立つ。フラフラで今にも倒れそうなのに。美森さんからはそんな強い意志を感じた。まるで凍原星ライブ前のたかみなさん。美森さんのだけではなく、私や智恵理のキララまでもが惹き付けられて輝いた。
決断したのは牛山先生、ではなく。研究生のステージを見に行っていたはずの葵平先生。声が飛んできたのだ。じゃあ約束して、と。そのままこっちに歩いてくる。
「ステージでは絶対に無様な姿は晒すな。岸田美森というひとりのアイドルとして、立って笑って見せろ」
「はい！」
「いい返事。三分で準備して」
美森さんはすぐさま準備を始める。……といっても、化粧台の前に座らせて。智恵理がタオルなどで汗を拭い、はーちゃんさんが最低限のメイク。もっちぃさんが髪をセットする。私は、美森さんサイズの衣装を持ってきた。
背後では先生二人とたかみなさん、しーちゃんさん。四人の話し声がかすかに聞こえる。本当に危なくなったらたかみなが止めて。しーちゃん達はこのまま待機。凪沙が戻ってきたら同じように伝えて……と。
前座ガールズのステージが終わった。M0はoverture。フル尺でも55秒。だから、少なく見てもあと30秒くらいかな。ステージに向かう時間を考えると。
戻ってきたチーム研究生の面々は美森さんのことを見つけて目を開いた。でも説明している暇はないの。道を開けてくれ。美森さんを含めた私たちはファンが待っているステージへ急いだ。ファンからの応援、ファンへの感謝。それらが原動力となり、美森さんを動かした。
「あれ、美森ちゃん！？」
「「「うおおおおお！！」」」
「みも〜り！」
今朝方、突然美森さんの休演が発表されたのに。来たらどうだろう。彼女がステージに来てくれたではないか。ファンの皆さんが美森さんを呼んでいる。
対して美森さんは……さっきまではフラフラで、一人で立つのもままならなかったのに。マイクを握り、二本の足だけで立っていた。00は会いに行くアイドル、だがそれ以上に今。美森さんこそが、会いたいと思ったから。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
東雲れーた(プロフ) - オノマトペさん» 嬉しいご意見ありがとうございます。内容重視で準備したいと思うのでお待ちいただけたら幸いです。コンビ推しの声もありがとうございます。先輩後輩なのに遠慮せず話せる・ライバルだが仲も良い。二人の関係性は私も気に入っているので、今後ともよろしくお願いします。 (9月17日 16時) (
レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
オノマトペ(プロフ) - こ、これは…！超需要ありありだと思います！個人的には日替わりが一番楽しみですね、本編もるりめぐのところテンション上がりまくりで読んでいます。これからも更新頑張ってください！ (9月17日 13時) (レス) @page45 id: 1db5f71093 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ハルカさん» そう言っていただけてとても嬉しいです。日替わりですか、了解です！ 作成時期は今の段階では未定ですが、公開したときはこの作品の中でお知らせするので気長に待っていただけたら幸いです。 (9月16日 17時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - たるそらさん» そうですか？ 私のひらめき次第になりますが、三択とも検討してみますね。公開時はどこかで言うと思います。当時00になりたかったの激しく同意！ この夢小説を通して、たるそらさんの想いも少し叶えられていたら幸いです。こちらこそ今後もよろしくお願いします。 (9月16日 17時) (レス) id: 70caf03276 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ - 私も需要あると思います。個人的には日替わりがとっても気になります (9月15日 19時) (レス) id: f576803fcd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年8月25日 9時
