658# 証言と考察 ページ8
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再び施錠された扉が見えないところまで歩き、談話スペースが見えてきた。ツバサさんと牛山先生、それにゆきりんさんの三人が私たちを待ち構えていた。椅子と呼ぶには硬いが、L字型のそれには数人くらいなら腰掛けられる。
たかみなさんは「研究生みんな疲れているでしょ」と譲ってきた。それは……貴方も同じでは？ 寧ろたかみなさんの方が疲労していそうだけど。公演で一曲踊ってからLASに搭乗、名前柄だが今もキャプテンとしてメンバーを見ているんだし。
「Aのそういう『いつでも冷静に物事を見る目』、すごいと思ってるよ。アンタの方が後輩だけど尊敬する。でも今は……ウチがAや、みんなを労りたいんだからいーの！」
「たかみなさん……」
「ゆきりんも手当に奔走してたでしょ。座っときな」
白い歯を見せて笑う彼女にもう何も言えない。私たちは好意に甘えることにした。奥から彼方さん、ゆきりんさん、まりこ様。直角に曲がった背もたれから凪沙、智恵理、私の順番で座った。
話を聞く姿勢を作る者が多い中で、起こった物事の大きさに辟易した彼方さんは背中を丸める。膝に肘をつき、俯く。同じ列に座るゆきりんさんに背を向けるから横顔が見える。まだ怒りは収まっていないらしい。
たかみなさんの次に、ツバサさんも飲み物を手にする。聴取できなかった問いについて、やっと口を開いた。
「消えたセンターノヴァたちを、助けるつもりだったのよ……」
「助ける？」
「誰かがセンターノヴァに覚醒する瞬間、向こう側の世界と繋がるゲートが開く。そこを通じて、6代目ゆいはんが見た……あっちゃんやみんなの元へ行けると考えたのね」
だから、ゾディアックに協力してチャンスを待った。……で、利用するだけして切られてしまう。分かりやすく言うと騙されたのだ。仲間の父親を悪くは言いたくないが、もう必要なくなったからポイするなんて非道な男である。
それでも元00メンバーとDESと繋がる人間。信用なんて芽生えるはずがない。目的に適うなら何だってするところは一周まわって関心すらする。一ミリぐらいだけど。
凪沙が声をあげたとき、みぃちゃんは沈黙を貫いた。あれは答えなかったのでは無い。答えられなかったのだ。優子さんが消えた件はともかくとして、秋葉星を攻撃すること。彼女も知らなかったんじゃないか？
「単に裏切っただけかもしれませんよ」
…………「は？」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
