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「なぜ制度を復活させたのか。あっちゃんが消失したときも隣にいた貴方が、その危険を軽視していたとは思えません。ツバサさんには説明する義務がある」
「「「…………」」」
「私が選抜入りを目指した理由には、みぃちゃんとまた一緒に仕事したい気持ちもあった。それと同じ。ツバサさんも……あっちゃんに再会できるなら何でもする。そう思ったこと、一度もないって言えるんですか？」
優子がセンターノヴァにこだわっていたのは誰もが知っている。運営が認めて、不可能が可能となった。目の前に転がってきた。優子は堂々と追いかける。……そしたら、あっちゃんと同じように消えてしまった。
そんなところまで似なくていいのにな。Aはツバサさんにも話を聞くべきと思っているらしい。みぃちゃんが口を閉ざしたこともあるが、凪沙と彼方が知りたいことはきっとツバサさんが知っている。そう思わせるような物言い。
扉の前で呆然とする智恵理に「どいて」と冷たく放つ。スライドして、出ていこうとしたそのとき。みぃちゃんはAの背中に言ったんだ。「ごめんね」って。Aは歩みを止める。
「あたしを好きになってくれてありがとう。こんなになっても『信じてる』って言ってくれたこと、嬉しかった」
「……本当だし」
「うん。……でもこれ以上はチャンるりの立場が悪くなっちゃうから。今の00には、たかみなみたいに素敵なメンバーが沢山いる。センター経験してる人も多いし……だから、」
だから。
その続きは、遮られた。誰ってAに。
「みぃちゃん。私が貴方を好きになったのは夢でも幻でも、一瞬の本能の迷いでもないよ？」
「…………ありがとう」
Aは体ごと彼女の方を向いて言った。握りしめている拳はちょっと震えている。目尻には涙が滲んでいた。それに対してあの人はこの状況には酷く不似合いな表情。くしゃりと笑う。……Aは裏切られたから泣くんじゃない。
自分の不甲斐なさ、かな。あくまでウチの意見だけど。少しでもみぃちゃんの責任を軽くしたい。ひとまずの優先はDESの視界から外れて逃げること。だが、事が全て終わったとき彼女がただで解放されるとは思わない。
今度こそ部屋を出る。通路を引き返していく。一人で先に行ってしまう背中はなんだか近寄り難い。それでも、あそこまで言われたらみんなも追いかけないわけにはいかない。言い返せないのは、彼女の言うことに根拠があるからだ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
