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想いを吐き出そうとし、私たちの方を振り返る智恵理。凪沙と目が合ったのかすぐにそっぽを向いてしまう。唇を噛む智恵理。たかみなさんは近づいて肩に腕を回す。
「落ち着きな」。この場の誰もに最も必要な言葉だった。
ずっと一緒に頑張ってきた仲間。嫌だけど自分の思いを殺し、何度も辞めようとしていた智恵理。負い目に感じていることも知っていた。その度に誰かの想いや言葉が引き止めて、夢を追いかけることを肯定してきた。
「どうしてですか！？」
「…………」
「メンバーを守りたかったんじゃないんですか！？」
「…………っ」
智恵理自身は、今までも秋葉星襲撃に関しても。何も関与はしていない。一ミリも悪くないのにこんな顔をさせたからか、凪沙はみぃちゃんに怒鳴りつける。
裁判のときも、智恵理たちの無事より選挙の結果を言っていた優子さんに怒っていた。凪沙はメンバーのことを蔑ろにされると感情的になるらしい。よくない、それはよくない。
凪沙にとって、00を教えてくれた智恵理は大事な友達。だから言うんだろうけど、ならば私だって。私にとってのみぃちゃん。それは……希望があることを教えてくれた人。
家族から愛されない子は、一般には人を愛することがわからず育つ。または違うものを愛を勘違いするかもしれない。だけど私は「好き」という感情を知っている。それはみぃちゃんのおかげなんだ。
「答えてくださいっ！」
「やめて」
「「！」」
私らしくない。そう思ったのはいつぶりだろう。こんな声が自分から出たことにも驚いた。しかし、そんなことよりも刺さる視線の方が……今は。
悪いことが起きて、その関係者とあらば。人は誰かのせいにしたがる。怒りの矛先を探す。心に余裕が無い人を咎めることはしない。そんなことをしても更に追い詰めるだけだから。私も、溜め込むことが最善とは思わない。思わないけれど。
「みぃちゃんのメリットは何？」
「……え、」
「もしかしたら、智恵理の父親はこう言ったんじゃない？ …………自分の娘をセンターノヴァにする。そのために園智恵理の価値を充分に上げる、とかね」
これもただの推測。智恵理の人気を意図的に上昇させる画策について説明するためのね。それにしても随分前からゾディアックには目をつけられていたらしい。そんなところで制度を復活させてしまうなんて。タイミングが悪すぎるよ。
ツバサさんの想いも利用されていたなんて不憫だなぁ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
