678# 未開の星／XXIII ページ28
▼Tsubasa
知らない惑星。これまで見たことがない。人が住んでいる気配すらない。辺りはキノコと白い苔のような……あれは胞子もしくはカビかしら。どちらにしても静かすぎる。かなりの辺境に来てしまったわね。
DESから逃げ、どうにか着陸も出来た。けれどシステムの修理が完了しないで強行したキララドライブ。撤退してからずっと飛行中の船もさすがに悲鳴をあげた。
まず中枢とも言える部分の
「やれやれ、酷い有様ね……。WOTAに救難信号出す？」
「ダメよ。DESに私たちの位置を知られる恐れがあるわ」
『ツバサさん』
ん、Aから通信だわ。
どうしたの？
『ここ、フンギスターだと思います』
「知ってるの？」
『はい……と言っても、人聞き程度ですが』
Aが言うには、宇宙一周を目指す冒険者ぐらいしか足を踏み入れることがないような星らしい。貴方はそれをどこで知ったのかと聞けば「双湖星に訪れたその人が言ってたんです」と返ってきた。
そんな偶然も、覚えていることにも目を見張る。私たちでさえ分からないのに、私より一回りは歳下なのに。あの子がクイズ番組のレギュラーになって少し経った頃、ファンからは00のデータバンクの異名を付けられた。それに違わない知識量ね。
何の惑星かは判明した。が、もうちょっと情報が欲しい。オペレーターの芽衣に『フンギスター』で調べてもらう。
「アーカイブに接続不能。測定可能なデータを出します。重力0.991。続いて大気組成……窒素78.2、酸素21.1、二酸化炭素0.04。有害物質は検出されず」
「大気の問題は無さそうね。みんな！ 聞いてちょうだい」
この後の予定を伝えようと船の中の通信機をすべてON。まず、フライングゲットはこれから修復作業に専念する。飛行できない以上、完了するまではこの星で身を隠すことになるわ。
幸い空気に関しては人の体に害を及ぼすことはない。……が、他に考えられる危険に同じことが言えるとは限らない。安全確保のため、今からメンバーには実際に外に出て情報収集をしてもらうことにした。襲名メンバーはLASに乗って偵察を、研究生は周囲の探索よ。
あまり踏み入れないとはいえ、他に人がいない確証はないわ。DESと遭遇する可能性だってある。十分気をつけて行うように付け加えた。
『あたしも手伝いま〜す！』
「ん？」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
