ラピスラズリ⑭【0048】 (ページ21)

今日:20 hit、昨日:5 hit、合計:4,952 hit

671 ページ21

▽

たかみなさんがツバサさんを呼ぶ。出撃するか訊ねるが『物資の補給ができない以上、戦闘は避けるべきよ』。そう返ってきて、彼方さんは思わずたかみなさんを押し退けてモニターの前に立つ。

彼女はもう逃げたくないんだろう。やられっぱなしは嫌だと反発する。これ以上……誇りまで失いたくない。そうだけど、私たちには抵抗できるほどの武器がない。相手は無尽蔵みたいなものなのだ。本拠地を追い出された私たちは……

「みんな！大じょ……うわっ」

「……くっ！」

「あぁっ…………」

「DESの攻撃……！」

『現在、DESと交戦中！緊急キララドライブまで、あと五分！』

たまたま近くにいたらしい。葵平先生が心配して駆けつけてきてくれる……が、敵マシンからの攻撃で機内が大きく揺れる。視界がグワンと傾いた。どこかに掴まっていないと耐えられない。バランスを崩して右半身を床に打ち付けてしまったまりこ様にゆきりんさんが手を貸した。

キララドライブの発進まで時間がかかるらしい。いつもなら五分なんてあっという間に感じるのに、ここでは一秒すら長く感じた。あと、四分五十秒。フライングゲット号はスピードアップする。今は逃げるしかできないからだ。

「反撃しないと落とされます！」

「なんの抵抗もせんでやられたないです！」

「ツバサさん！」

才加さんにゆいはんさん、たかみなさんが必死に訴えるが応じない。誰もが最悪を考える。だが、そんな未来にはしたくない。…………ここで、予想外の通信が流れてきた。切迫してるが、なんか聞き覚えのある声。

その人は『格納庫の昇降口(ハッチ)開きました！ LASが出撃します！』と。え……？怪我人と付き添い以外の殆どのメンバーがここには集合している。誰なの……。これにはツバサさんですら驚いていた。

『みぃちゃん……』

「！みぃちゃんが……！？」

……え。

佐江さんが「逃げたんだよ。もしかして私たちのことをDESに知らせて」なんて敵意むき出しの憶測を言う。今はそんなことより。窓から例のLASが見えた。あれにみぃちゃんが乗ってる……？

カスタマイズした機体に搭乗し、フライングゲット号を挟んで、攻撃するDES軍とは反対側に飛んで行ったみぃちゃん。こちらに銃口を構えた。まさか、そんな……違う。

そんなわけないよ。混乱に乗じて逃げるのも、DES側につくのもありえない。私は、みぃちゃんを信じている。

.

『さよなら。あたしのAKB……、0048！』

.