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もう夢の続きは見られないかもしれない、なんて。
「おりゃーっ！」
「ぐえぇっ！」
沈滞ムード。たとえるならお通夜である。再び静まりかえる医務室。そんな空気を払拭するように明るい声をあげたのは楚方だった。目尻を濡らす真琴の布団にドーンと飛び込む。
ブツゾウのウジウジ虫、きたりえのウジウジ魔人。楚方は「ウジウジ」を連呼しながら、まるでトランポリンのようにお尻に勢いをつけて飛び跳ねを繰り返す。
おそらく最年少の彼女こそが、最も何が起こったのか追いついていないはず。対して真琴たちはそれなりに心が成熟している年頃だ。感情だけではなく理屈も考えられる。だからこそ俯き、楚方に気を使われてしまう。それも知っているが、やはり前を向くには…………勇気が足りなかった。
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才加とゆいはん、咲和が去った後。他のメンバーがその場を訪れていた。さっきまでAたちといた凪沙と智恵理だ。凪沙は階段に腰掛け、智恵理は最後まで降りてから壁に背を預ける。最初に名前を呼んだのは凪沙だった。
智恵理が相槌をしてから、謝罪する。みぃちゃんの話を聞いてつい駆けだした彼女へ、父親と話すことを無理だと言い切ったことに対してのものだった。
「……いいの、凪沙の言う通りだよ。それでも……父とは決着をつけないといけないと思う。私が、自分の手で」
「…………」
「どうしたらいいのかは、まだ分からないけどね。………………、優子さんのこと？」
止める方の言い分も分かる。けれど、智恵理は諦めていなかった。なぜ、急に応援してくれるようになったのか。それなのに秋葉星を攻撃させたのか。父親が何をしたいのかピンと来ない。そんなことだらけだけど、苦難から逃げる選択はないようだ。
今思うことを正直に話したつもり。しかし凪沙は口を閉ざしたまま。何も言わない。膝を抱えて、下を向いて。何かに気を取られているようで。頭の中にいるのはやはりあの人、消えてしまった9代目ゆうこ。名前を出せば「……うん」と、やっと応える。
ずっと考えていた。みぃちゃんには出来なかったけれど、優子を助ける方法がそれしかないのなら。誰が、じゃない。ツバサたちの話も聞いたら頭にこびり付いて離れないこと。
「わたし……ね、センターノヴァになろうと思う」
「え……！？」
「センターノヴァになって、別の世界の扉を開けて、」
彼女は心を決める。
「優子さんを……絶対助ける」
わたしがやる、と。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
