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だが、彼女はなぜか笑った。傍から見ればこじはるとともちんに気を遣われている。……でも、実際は。しーちゃんにそんなつもりは一切なかったのだ。
このクスクス声は気を紛らわせるとかでもない。本当に気にしていない。だって「うちは二人を信じてるから」。
「00になる前から『二人が揃えば無敵』って言ってたんだって。入ってからは、文字通りLASにおいても。00史上屈指の操縦テクニックを披露して双璧なんて呼ばれてた。それに……」
「それに……？」
「咲和ちゃんには美果子ちゃんが、美果子ちゃんには咲和ちゃんが着いている。全然心配してないよ。絶対また会える。待つのは得意なの。だからうちらは、仲間を信じてできることをしよ？」
彼女は、大家志津香の志を継ぐ者だ。オリジナルメンバーの意志……それは「常に今できる、最大限の努力は何かを考え続ける」こと。
6代目しーちゃんも、先行く同期や後輩の背中をたくさん見てきた。途方もない時間を過ごし、やっと襲名しても中々人気が出なかった。待ってばかりだ。しかし、ボーッとするんじゃなくて頑張り続けた。でも、だからこそ。
襲名メンバーを対象にした、とある雑誌のインタビュー。「尊敬する先輩は？」という質問があった。現在のメンバーで最も多かったのは彼女だった。ともちんとこじはるもその一人。更には8代目まりこも。襲名後、同じように名前をあげる。
この場にいるのは結果だが、その存在はみんなを安心させた。
「しーちゃんさん、WOTA本部と交信が繋がったそうです。トップオタさんが今後のことを話したいらしく探しています」
「分かった。呼びに来てくれてありがとう。じゃあ、すーちゃん。ここ、お願いしていい？」
「はい」
しーちゃんは手当を終えた女の子の頭をなでてから立ち上がる。あとはすーちゃんにバトンタッチ。彼女はここにいる誰よりも00に尽くしてきたメンバーだ。これからのためにも駆け出す。止まってなんていられない。
残された面々はその背中を小さくなるまで見ていた。それでも聞こえる地響きに不安は消えない。けれど、神殿にいるキララを引き寄せる先輩の姿に元気をもらう。
一方その頃、遠く離れた宙域にいるフライングゲット号。しーちゃんが信じて疑わない二人は、彼女の想いに反してそれぞれ違う場所で足を抱えて俯いていた。ひとつ違うのは……咲和の近くに、才加とゆいはんがいたこと。
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※オリジナル要素はもう少し続きます
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
