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さっきのね、もっちぃさんのこと。牧野さんの卒業は彼女が研究生になる前だったらしい。それなのにどうして彼女を知っていたのかというと…………
「あの子を『2期差なのに大人』とか言ったでしょ。研究生って、今のメンバーの本名や年齢とか。あまり知らないでしょ？ その人がいる間、その名前を襲名できるわけでもないし」
「あ……たしかに、そうかもしれません」
「わたしも憧れの12代目あっちゃんのことは卒業してから知ったの。……もっちぃは16歳のときに合格したからね。今年で20になるはずだよ」
「ボクたち、そこまで聞いちゃっていいんですか……？」
エケペディアにも書いてる情報だから大丈夫じゃない？ と牧野さんは言う。
会話が一旦途切れたとき、走り回るもっちぃさんがボクたちを見つける。「研究生！ 早く……」と、追加の救急セットを持ってきてほしい気持ちが入った声は、最後までは聞こえない。一緒にいた人物に、もっちぃさんの動きが止まった。
彼女が目を瞬かせると、牧野さんが「久しぶり、もっちぃ」とヒラヒラ手を振った。もっちぃさんは「……
「わたしともっちぃは従兄妹なの。彼女は5代目たかみなにすごく憧れていて、目標にもしてる。だから……こんなふうに頼れるってわけ」
「？ 何の話、してたの？ ……って、それより！ パパコックのところもガーゼが無くなりそうだから持って行ってあげて」
もっちぃさんに言われてボクと葉月は現実に戻される。
その場を後にしてから。牧野さんが「立派な先輩になったね」と、もっちぃさんを褒めたこと。そして「はい！」と嬉しそうに彼女が笑ったことは知らない。
..
9代目もっちぃと並び、メンバーや協力してくれるWOTAや住民に役割を指示する6代目しーちゃん。この位置は「最年長だから」という理由以外に、本人にも都合がよかった。
そんなしーちゃんは現在、ともちんとこじはると共に子どもの手当を行う。腕に包帯を巻き、膝や顔に傷があれば薬を塗ったガーゼとテープで固定する。「しーちゃん、ありがとう」と言われたら「どういたしまして」と返す。
「しーちゃん、」
「何、こじはる？」
「みぃちゃんや先生のこと、本当は心配なんだよね……？」
そんな彼女の姿は、後輩たちには二人を気にしないようにするために余計に尽くしているようにも見えた。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年10月22日 13時
