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神聖、聖域。正直曖昧な単語だと思った。
0048劇場のさらに地下にあるのに、メンバーでさえ立ち入ることのできない場所だとこじはるは言った。メンバーは関係者ではない、そんな言い方。てことは、運営？ 歴代ともちん達も首を振った。なら、1ファンがいくら考えても結論は出ないだろう。
ライブの照明として利用するキララには不明な点も多い。同様に、襲名の基準もベールに隠される。それらに通ずる雰囲気。
「……え、」
「ん……？」
今も眉間に皺を寄せるともちん。彼女のキララが寄り添い、光を帯びる。でも、それだけじゃない。聖域というこの場所のあちらこちらに漂うキララが、ともちんに引き寄せられていた。
歴代ともちんは現在のともちんに向き直り、再度しゃがんだ。そして、あたしたちと同じように視界に映る現象に目を瞬く。
「お姉ちゃん、ママ……」
「友美……どうしたの？」
「ここに来てから、何か……。聞こえる気がするの……」
「え……？」
「体の奥から、誰かの声が……」
声が……？ その先はない。
ともちんは苦しいのか、更に皺を刻む。みんな心配することしか出来ず、なにもできないのがもどかしい。だけど下は向かなかった、向けなかった。ともちんの頭上で彼女のキララが強く輝いたから。ともちんに、何が起こっているの……？
Aちゃんは頭が良い。大抵は人が疑問に思わないことにも気づいて、首を傾げる子だ。もしこの光景を見ていたら、何か分かったのかな。そう思った。
▽
また、気持ちが秋葉星に向く。練習再開だ。
そのためにもツバサさんは智恵理へ通信を繋ぐ。凪沙たち二人がいない間に状況はだいぶ変わった。00は、秋葉星を取り戻すためにライブをすることになったの。
ツバサさんは「実現までの動き方はメンバーに教えてもらいなさい」と言い、一番大切なこと……この作戦の要だけを伝える。私たち一人一人がセンターノヴァのレベルまで輝くことが必要、と。
「智恵理も、着替えt『ツバサさん……』、…………」
『……し、私……。あの……、』
智恵理は、謝っていた。勝手な行動をしたが、今まで起きたことに比べたら何も悪いことはしていないとも言える。
涙が混じった、震え声。智恵理の方から通信は切られた。ああ言っていたツバサさんだが、怒りもしないし呆れもしない。ここにいるメンバーに向き直ると「レッスンを始めましょう」。
私たちは立ち上がり、元いた場所へ引き返す。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
