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食後は再び二手に分かれて避難所を見て回る。といっても、メンバーもここの広さは把握してないからと人の居ない方には行かないように言われた。
……たしかに、地図もないんじゃ迷子になりそう。街の中みたいに特徴的な物がない。同じような鳥居や水辺、竹林があっちにあったかと思えばこっちにも広がっている。
そして。歩いていたら、とある光景が飛び込んでくる。思わず「リーダー、」と呼び、指を差した。そこにはこじはると恵ちゃん、それに……。
「ともちんが……二人？」
「どちらも違う。左が10代目ともちんさん、右が9代目ともちんさんだ」
既に年単位で00ファンをしているリーダーや私、葵と異なり、護は00にハマってまだ数ヶ月だ。彼は友歌ちゃんが研究生になったことで、アイドルという分野に興味を持ったから。
それより以前に卒業、更には現時点でその名前を襲名するメンバーがいた場合……いわゆる「歴代メン」に弱い。首を傾げる彼には間髪なくリーダーが答えた。
彼女たちの顔は暗い。何かあったのかと思い、足は自然とその方へ向かう。すると……理由は徐々に明らかに。さっきまでは四人に囲まれて見えなかったけれど、彼女たちの足元には人がいる。
「ともちん、具合どう？」
「……ん、あ……平気。ありがとう」
言葉が出なかった。こじはるが彼女の名前を口にしたことで、似ている……から確信に変わってしまう。首から下は毛布にくるまり、腰の辺りにはクッションを敷いている。その顔色も悪い。
間違いない、その人物こそ新規でも知ってる11代目ともちんだった。ともちんが最初にあたしたちに気づくと、こじはるたちやともちんをコピペしたみたいに同じ顔をした歴代ともちんたちもこちらを振り向いた。
「ともちんさん、お怪我を……！？」
「んーん。ちょっと……頭痛が酷いだけです。せっかく来てもらったのに、こんな格好でごめんなさい」
大したことないように言うけれど、お世辞にもそうは見えない。本当は辛いのかもしれない。それでもともちんは、わざわざ会いに来てくれたファンのことを考えて微笑んでくれた。
やっぱりグループに他のメンバーの現状を伝えないのは正解だったと思う。ともちん推しの伊賀丸に知られたら発狂しそうだ。
ともちんの状態を知り、護は「医者を呼んできますよ」。彼の言う通り、ちゃんとした治療を受けた方がいいと思う。葵も同意するように頷く。……だけど、皆さんは浮かない顔を見合わせた。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
