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緊張の糸を切らすのはまだ早い。
野太く、そして鋭い「動くな！」という声が飛んできた。気づけば……こじはるの背後には三人のDES兵。一人に対してだ。探していた00メンバーということで、やけに厳重な対応である。
銃を構え直そうとした……が。助けはすぐに訪れた。こじはるのステッキとは異なるけれど、件の兵士のスーツにまたも電気が流れて倒れた。彼らの後ろから姿を見せたのは……
「もー、こじはるさーん。危ないですよー？」
「さーんきゅー、メグちゃーん！ あーんど、76期生のみんなー！」
こじはるを囲んでいた兵士を倒したのは……当初はライブに出演するため、藍花星に来てくれた恵ちゃんだった。両手でマイクサーベルを構えている。彼女にお礼を言うと、こじはるは更に高いところを見やる。
視線を追えば……他の研究生の子たち。公式サイトで顔は見たことがある。後ろを囲っていた敵の兵士を倒してくれたらしい。
「あれっ、前に会いましたよね？」
「？ メグちゃんの知り合い？」
「藍花星支部のWOTAさんです。ボク……というか、Aのお友達の方です。あと……隣の男子は凪沙や友歌の同級生だったかと」
恵ちゃんはあたしの顔を覚えてくれていた。思わぬところでこちらが信用出来る集団だと伝わる。あたしたちを、現在皆さんが避難生活をしている場所へ案内してくれるらしい。……あ、待ってください。あの。
実は、別行動をしている仲間がいる。その旨を伝えると、それも大丈夫だと言われた。恵ちゃんがインカムを触り、誰かと話す。
歩きながら聞いた話。実は彼女たちは食料を調達するために外に出ていたのだが、DES兵の「WOTAが侵入」という声を聞いて駆けつけた。本当なら隠れないといけないのに、ファンのために。
「わたしたちも別行動してるんだ」
「……了解、伝える。こじはるさん……すーちゃんから連絡で、WOTA藍花星支部の残り3名と無事合流できたそうです。向こうも神殿に案内すると」
すーちゃん、6代目佐藤すみれ。新世代の篠田麻里子が誕生してまもなく、襲名を果たした元76期生の子だ。そういえば恵ちゃんの同期か……。
もうひとつ聞きなれない単語があった。神殿……って？ 神社や寺より厳かなものを想像する。こう……なんか、白い柱に囲まれてる感じ。倫理の教科書で見かけそう。
でも、ひとまず一番気になるのは……あの子が無事かどうか。手に力がこもった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
