770# 変わり果てた聖地 ページ20
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リーダーのパワードスーツにはキララドライブの機能はない。そのため、藍花星を出発して数時間が経過していた。やっと秋葉星に着いた。
長い浮遊感も終わりだ。着陸完了、と声が聞こえて武器を持ち直す。成人している先輩たちの後に続いて外に出た。どこから見つかるか分からないため機体と木陰の間に潜める。……にしても、
「そんな……」
「本当に、ここが秋葉星なのか……？」
護と葵に関しては他の星に行くのも初めてだと聞いた。あたしも、秋葉星はTVや雑誌でしか見たことは無い。
芸能を肯定する人間なら一度は訪れたい星。聖地と呼ばれる場所には、事前に知っていたものとは違う景色が広がっていた。これじゃあまるで、藍花星のよう。……いや、藍花星より酷い有様だ。
リーダーは識別確認のためにDES軍のスーツまでも身につけ、顔を隠していた。外に出たらゴーグルを上げて目を出す。そして機体に触った。偽装した見かけは、彼方ちゃん推しとひと目でわかるWOTAスーツに戻る。
「まずは偵察だ。くれぐれも気をつけろ」
半分に分かれる。あたしはリーダーが指揮する班で、護と葵も一緒だ。リーダーは支部の頭である。10代の保護者的役割も兼ねて、この編成。
辺りは日中とは思えないほど暗い。これじゃ、DES軍のスーツは見にくくて仕方ない。充分に警戒して移動した。木陰に身を潜め、それぞれ双眼鏡越しに街の様子をうかがう。クリスタルシアターは腰の部分が折れて傾き、想像していた美しい街並みは見る影もない。
どこを見てもDES兵が横行している。もし見つかったら……あの人数では逃げきれない。あたしたちもただでは済まないだろう。
「こいつぁ……、酷ぇな」
秋葉星。00の本拠地。Aちゃんが、家を出てから住んでいるところ。……ううん、今はもう。
街にはD.G.T.Oのエンブレムのある星旗があちらこちらに設置されていて。血のような赤と白を基調とした布の後ろからはライフルのような銃口が伸びる。
あくまで占領ではなく奪還のつもり。メディアに撮影されたら不都合なところは隠していた。
「…………」
「葵？」
「本場……秋葉星の劇場で、公演を見るのが夢だった。なのに……」
葵が視線を向ける方を、双眼鏡越しに見た。配給のテント……並んでいるのは秋葉星の人たちかな、その手には器のようなものが。整備にしては多すぎるDES兵の数。
銃を携帯し、歯向かう者がいるならすぐにでも撃つような姿勢である。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
