762# 深紅の衝撃／XXV ページ12
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レッスンを始めたら、秋葉星奪還作戦に向かっていよいよ動きだしたように思う。牛山先生はダンスの先生だ。パフォーマンスに指摘が飛んでくるのは普通のことだが、回数が普通では無い。
研究生に対するものとは比べ物にならない。私たちは目標の襲名メンバーすら通過点とし、いきなりセンターノヴァと遜色ないレベルを求められていた。今までは良しとされていたが、今回は全く駄目。
それじゃ作戦の強度が下がってしまう。藍花星ライブで見せた輝きはまぐれだったのか、この場の光はそれに遠く及ばないと言われた。追い打ちをかけたのは……
『アイツらがいないと輝けないの！？』
名前は出さないが、牛山先生が言ったのは凪沙と智恵理。
そんなことない、そんなわけない。秋葉星を取り戻したい気持ちはみんな同じぐらい強い。これが私たちに火をつけたと思う。
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時間はいくらあっても足りない。しかし休憩は必要。体の中の水分が汗になって放出されるため、補給無しに踊り続けていれば脱水症状を起こして倒れてしまうかもしれない。
でも、飲んだらすぐ再開だ。と思って一旦音を止めたんだろうけど……休憩に入るなり、まりこ様が走ってやってきた。ただ事じゃない顔。先生も私たちも、思わず注目した。
「麻里子？ どうしたの？」
「さ、さっきツバサさんから連絡があって……。凪沙と智恵理が戻ったって」
えっ……！？ あちらこちらから驚き、喜びを含む声が上がる。
救出作戦は成功したのか？ 二人は怪我などはしていない？ 聞きたいことは沢山あった。その中でも、幼馴染である友歌と織音は早く会いたいみたい。二人はどこにいるんですか？ なんて前のめり。
仲間の合流。それはとても嬉しいことだ。なのに、まりこ様の顔はどこか浮かない。……ん？ それには彼方さんも気づいたようで尋ねた。
「ひとまず知らせに来ましたので詳しいことはまだ……。私にも分からないのだけど…………実は、」
帰還は、救出作戦によるものではなかった。そして凪沙曰く、智恵理のお父さんが殺された……って？ は、どういうこと？ 全然状況がわからない。だがこれを彼女に言うのは違うみたいだ。
まりこ様から遅れること少し。次に暗闇から現れたのは才加さん。
「牛山先生、Aを借りてもいいですか？ ツバサさんに呼んできてって頼まれてて」
「はい？」
「…………、どうぞ。こんな話を聞いた後じゃ、他の奴らも……どうせ練習に身が入らないもの」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2024年3月16日 19時
