067# 一筋の希望 ページ17
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凪沙と智恵理が先程の場所から動かず。優子さんが公演でどんなダンスを踊っていたか、互いにこうだと言い合い再現していたとき。
友歌と織音がともちん、そして歴代のともちんにアヒル口を教えてもらって口を吊りそうにしていた頃。
彼方と真琴はこじはるの指導あってか、かなりセクシーにフェロモンが溢れる動きが出来るようになった。今もノリノリで滑らかにポージングをしているとき。
才加に焚き付けられ、美森は「まだやれます！」とスクワットを続ける。同様に佐江も「美森さんファイト〜」と彼女に応援の声をかけた頃。
Aは、寮の屋根に登っていた。見下ろしてビビる様子はない。腰かけて曲を選ぶ。今回は『ハート型ウイルス』。
この曲は三人で歌うものだ。特にメンバーは決まっておらず、様々なパターンが公開されている。彼女がよく聴くのは、オリジナルメンバーのバージョンだった。
「………………」
誰がどう見ても可愛いの感想を抱く、超王道の曲。メッセージ性が高いことを言うのは今更だが、まっすぐ前を向くAにも歌詞はグサグサと突き刺さっていた。
彼女が考えているのは、先程電話した実の妹・瑠璃川燈のことだ。そのとき言われたことが頭を離れない。
『今すぐ帰ってくるなら、お母さん許してあげるって』
へえ、許す。……そしてどうするの。
またあの人もあんたも、私をあの家に縛るんでしょ。
『お姉ちゃんなんだから、妹を庇って代わりに怒られるのは当然じゃん。何が不満なの。お姉ちゃんが出ていったせいで、お母さんずっと不機嫌なんだよ』
自分からサンドバックになりに行けってか。
そんなことを伝えるためにわざわざ秋葉星まで来たわけ？
『別に、運が良かったら会えるかなってくらい。あたしだって00のファンだもん。家にいても八つ当たりされるだけだし』
電話ができる。それすなわち、同じ星にいなければありえない話である。違う星の者への連絡手段は基本メールかリモートしかない。
燈が秋葉星にいるなら、街でバッタリなんてことも可能性的にはなくはなかった。考えただけで鳥肌が立つ。
「はあ………」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
