088# 相容れない姉妹 ページ38
▽
上空では、DESと
地上の降下部隊が私たちの相手だ。私たち研究生は会場の外に誘き出すために散り散りに分かれた。
「はぁっ！」
「ぐ……」
最初は智恵理や彼方さんと戦っていたが、乱戦で離れてしまった。対人の目は凪沙たちが引いてくれている。私は無人機の方を。銃口が向いてさえいなければ、隙を見て接近してアームを斬り落とす。
そのとき、女の子の悲鳴が聞こえてきた。不味い、逃げ遅れたファンがいたのか。声の方を振り向いたら、その光景は色んな意味で衝撃的で。普段の私を知ってる面々からしたら、らしくない。そう言われるかもしれない姿だ。
「っ……！？ なんで、」
「
恐怖で腰が抜けて逃げ遅れたのか。燈は強気な性格ながらも、ホラー映画や遊園地のお化け屋敷はすごくビビりな体質なのだ。命の危機、ともなれば動けなくなって当然だろう。
それに、双湖星が芸能に制限があった頃はまだ物心がついたかどうかの歳だった。母に大事に守られていたらDES軍なんかを見たことは無いんだろう。
「あたしに言われて『襲名できるわけない』って悟って、迷惑かけたから姉として庇った。素直にそう言いなよ！」
「……素直になれないのはどっちだか」
カチンときた。でも怒りの矛先は彼女では無い。今も銃口を向けているDESの無人機だ。助走、大きく踏み込む。アームを斬れば、こちらを撃つことはできなくなるだろう。
素早く方向転換。もう片方も同様に斬り落とした。敵機の注意をそらすためにも、二本目は近くにいた楚方に声をかけて挟み撃ちの形をとった。
「楚方、あの子をお願い。あんたのファンでもあるんだから、ちゃんと護りなよね」
「わかっt」
「なに、それ…。今まで騙してたの……！？」
騙す？ 人聞きの悪いことを言うもんだ。
「お姉ちゃんは大事なときにはいつも失敗して運動もできなくて。何も言い返さないし、協調性なくて孤立して……」
「それは、あんたと母さんが本当の私を見ていなかっただけだろ。何も知らないくせに才能が無いって決めつけんな。私の可能性をちゃんと見てから言って！」
すると、キララが頭上高くに浮上する。
目で追ったその先で私を照らした。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年7月1日 14時
