38# 東雲彼方の動機 ページ38
▼TAKAMINA
彼女は目を見開いてから身体を起こした。身長的に今度はウチが少し見上げる形になる。ねえ、誰かにそう言われたかった、許されたかったんだよね。Aは。
丁度曲が終わったタイミングで、Aの携帯から通知音。ウチの目を見てきたから「見ていいよ」と促すと、彼女は早速確認した。
「77期のお風呂の時間になったそうです。では私は失礼します」
「……あ、ちょっと待って」
「？」
携帯貸して、と言う。Aはよく分からないとハテナを浮かべたけどウチに渡してくれた。ちょこちょこいじってすぐ返す。
「これ、ウチの連絡先。なんかあったら言いな？ 強襲ライブ前日とか、朝一から仕事以外なら話し相手になれるから」
「…………ありがとうございます？」
「あはは、じゃあまたね」
ぺこりと軽く会釈をして小走りで行ってしまうA。
なんか込み入った話を聞いちゃったから心配っちゃあ心配かもしれない。ウチも弟がいる。でもAとは違って、家族は温かいし仲も良い。
自分とはかけ離れていて、なんだかほっとけない。
..
彼方と美森は入浴を済ませて二人だけの部屋にいた。他の部屋と違い、ツインルーム。縦ではなく隣にベッドが並んでいる。
キャミソールにショートパンツ。チャームポイントのリボンも外していて、髪も下ろしていた。彼方は一息をついて「ドッと疲れた〜」と片方のベッドに身体を預ける。対して美森は寝る前のヨガをしている。最初は木のポーズ。
「せっかく久しぶりの再会ですのに。可哀想じゃありません？」
「………あの子は何も知らない。キツイ練習。どんなに頑張っても報われない辛さ。こんなに悔しくて惨めな思い、あの子にはさせたくない」
彼方は天井の、自分らを照らす照明から目をそらす。美森は一旦ヨガをやめ、眉を下げて彼方を見つめる。
でも自分まで暗くなってはいけない。研究生を部屋に案内したようにハッスルのポーズを取り、明るく振る舞う。大丈夫大丈夫、わたくしたちは「不運の期」。まだ襲名できないなんて今更だ、という調子である。
「妹さんはもしかしたらポン、ポンっと。景気よく襲名メンバーになれちゃうかもぉ〜」
「どうしてそんなヘラヘラしてられんの！？ もう二年だよ、同期の仲間たちはみんな辞めていった！」
今の発言にはさすがの美森も肩を落とす。
余談だが、凪沙たち四人の部屋。あそこは元はやめた同期たちの部屋だったのだ。
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ひな(プロフ) - 東雲れーたさん» これから続編に向かうところです！！とても好きです😭✨ 全部が全部脳内で有声再生されるくらい好きなのでこんな素敵な作品に出会えて嬉しいです....！ (2月2日 4時) (
レス) @page50 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ひなさん» 当作品を読んでいただいてありがとうございます！ 放映当時のワクワクはもちろん、当作品ならではの展開もまとめて楽しんでいただけたら幸いです。 (1月31日 5時) (レス) id: 35709d1cf1 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 00の作品に出会えたことがすごく嬉しいです...小さい頃から大好きなアニメだったので感慨深い.... (1月30日 22時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年6月30日 15時
