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夕方の時間。藍花星の空は美しい橙色に染まっていた。レッスン室を飛び出した彼方は川沿いの道をとぼとぼ歩く。
川の反対側にはビルが立ち並んでいる。少し顔を上げれば、広告やモニターには襲名メンバーが映っていた。たかみなにゆうこ、まゆゆ、こじはる、さえ。新商品のお菓子のCMらしい。彼女はそれを見てまたも目元を濡らした。
彼方はわからなかった。自分は父さんの復讐をしたいだけ。歌や踊りを指摘されて、どうしてこんなに辛いのか。なんで悔しいのか。
空いているベンチに腰掛け、切れ切れに初日を口ずさむ。……一人だけ踊れなくて帰り道に泣いたことがある。思うように歌うことができないで、自信を喪失させたこともある。
好敵手の方が。仲間の方が。自分より輝いている気さえする。滴るほどの汗をかいても自分の花は開かない。でもコツコツ積み重ねた努力は決して無駄じゃない。
美森の歌声だ。その方からは、練習着のままの彼女が彼方の方へゆっくり歩いてきている。
「やめて……！ これ以上歌われたら……っ、」
彼方の叫びに美森は応えない。そのまま歌い続ける。耳を塞いで、歯を食いしばっても。涙が膝の上に零れても。
嗚咽しながらダメだと言っても、美森は最後まで歌い上げた。そして彼方の隣に座った。
「好きになっちゃう……。歌を好きになっちゃうよ……っ」
「いいじゃないですの。好きになったって。『好き』は、愛は多い方がいいですわ」
にっこり笑み、彼方の肩に手を置く。ようやく二人の目線はかち合った。
「だって、AKB0048は会いに行くアイドル。……そして、愛を届けるアイドルなんですもの」
「美森……」
美森が伸ばした手を、彼方は今度は取った。仲間であり、たったひとりの同期。そして親友。先導してまた歌うのに彼方はまた涙が溢れさせる。腕でそれを拭った。
二人は声を揃えて一緒に歌う。そのとき、丘の上から「彼方」と呼ぶ声が。振り向いた先にいたのは……
「かなたぁ〜〜〜！ か〜なた〜〜〜！！」
77期の面々が数歩下がって見守る中、楚方が両手を顔の前に持っていき大きな声で姉の名を呼んでいる。
力いっぱい、何度も。あの前座ライブのときのように。
「楚方……！」
「凄いですわ」
「え？」
「わたくしたち、まだ襲名メンバーにも選ばれていないのにもうあんなに熱狂的なファンがいるんですのねぇ」
「……あっ」
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ひな(プロフ) - 東雲れーたさん» これから続編に向かうところです！！とても好きです😭✨ 全部が全部脳内で有声再生されるくらい好きなのでこんな素敵な作品に出会えて嬉しいです....！ (2月2日 4時) (
レス) @page50 id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
東雲れーた(プロフ) - ひなさん» 当作品を読んでいただいてありがとうございます！ 放映当時のワクワクはもちろん、当作品ならではの展開もまとめて楽しんでいただけたら幸いです。 (1月31日 5時) (レス) id: 35709d1cf1 (このIDを非表示/違反報告)
ひな(プロフ) - 00の作品に出会えたことがすごく嬉しいです...小さい頃から大好きなアニメだったので感慨深い.... (1月30日 22時) (レス) id: 1ddf176c35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2022年6月30日 15時
