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▼MARIKO
真琴と織音。それでは終わらなかった。織音に続いたのは彼方。私が自らの襲名の準備で寮に帰れなかったとき、彼方は毎晩レッスン室にこもって練習をしていたらしい。
それは初耳ですわぁ。私だって何も負い目がなかったと言ったら嘘になる。佐江はかつて、こんな気持ちだったかもしれません。でも……先に襲名したことを申し訳ないと思ったら彼方に失礼です。
「わたしの目標が明確になったのは麻里子のおかげだけじゃない。あんたは忘れてって言ってたけど、はっきり口にしてくれたから素直になれた」
「……私の言葉なんて、微々たるものです。彼方さんが今そう思えるのは、やはり隣にまりこ様がいることが大きいと思います」
彼方の次は、友歌。
「みんなに便乗するわけじゃないけど、そういえば……私も。麻里子さんが襲名した日の夜、みんなでパーティしたじゃん」
「うん」
「私はツバサさん……大人っぽくて、頼れる7代目まりこ様に憧れて。00に入って、いつかその名前を襲名したいって思ってた。……あ、麻里子さんに怒ってるわけでも、卒業して欲しいわけでもないですからぁ！」
「分かっていますわよ」
「ほっ…………でさ、私。【篠田麻里子】になりたかったけど、麻里子さんが襲名したとき……ちっとも悔しくなかったんだ。おかしいよね。なんでだろうって思ってたときAが声をかけてくれたから色々整理出来た。ありがとね」
藍花星で、凪沙は一時的ですが声が出なくなりました。でも……それだけじゃない。Aは私の知らないところで、他の沢山のメンバーを助けていた。多分、それにはメグも含まれるでしょう。
本人にそのつもりがあるのかはわからない。これはあくまで結果。だってAの言うことは、人によっては厳しく聞こえるもの。真琴はその典型例かと思いますわぁ〜。本当に、やめていたかもしれない。
真琴だけじゃない。凪沙や、もしかしたら彼方も。研究生はいつ去ってもおかしくない立場にいます。続けるのも簡単なことではありません。
「ふうん……るーりんって、みんなと色々話していたんだねっ。ねえねえ、そなたには？」
「え……？」
「そなた、もっとキラキラしたいから！ どうしたら出来る？」
突然の声に、目をぱちくりさせるA。そう来ると思っていなかったという顔ですわ。楚方からすれば……Aと話したからみんな成長し、輝いた。自分も更に輝きたい。
それ以外は頭にないからこそ、戸惑っている。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
