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▼SAYAKA
それからAは鈴子とツバサさんを呼んだ。鈴子にはもう一度アーカイブに接続を試みてほしいと、ツバサさんには最近この星に足を踏み入れた人間が居ないか調べろと。指示の直後、アタシたちも出発する。
フンギーはいきなり現れた。日中はどこにいたんだろうって思う。そしてモフフを奪うと直接の害はせずに去った。おかしい、人間を怖がっていない。咲和先輩は違和感を覚えたらしい。
『立ち寄るのは物好きな観光客ぐらいなんだよね？ 滅多にないこと……それなのに。フンギーは人間を知っているかのような様子だった』
『人の手が加わらないこの星に大量のデュアリウムがあるとゾディアックが知れば、不正に採掘も有り得るわね。……なんせ、芸能の聖地に乗り込んでくるくらいだもの』
「人が争う理由は主に五つです。民族や宗教の違い、資源、政治、領土。今回は資源だった。この場合、特に武力で支配を試みることが多いんです。私たちの敵は一般の住民に手を上げて鉱物を独占……。おそらくフンギーたちも、」
DES軍は、芸能を禁止するためなら楽しむファンの人たちにも手を出すことがある。アタシたちと違って、武器も持たずに丸腰の人に対してだ。同じように銃を構え、反抗すれば引き金を引く奴ら。
先輩とツバサさん、Aを中心に状況を分析する中。たかみなから通信が入った。研究生四人を発見したと。だが安心とは遠い、やたら緊迫した声色だった。
『ゾディアックの無人攻撃機、数機を確認！』
『森が焼けてる……。みんなは研究生たちの保護をお願いっ』
了解、と返す。アタシ含めてセリーに同乗しているメンバーがいる奴は掴まってもらい、ツバサさんを通じて言われた位置へちょっと飛ばした。…………それにしても。
メンバーだった頃の咲和先輩は陽気で、その振る舞いでファンの人たちの心を明るくしていた。アタシも元気と希望をもらったひとり。でも気遣いの塊という一面もあり、細かいところまで注意が行き届く人でもあった。だから、話を聞いていて『さすが』と思う。
驚くのは入って約半年の後輩、Aだ。00に入るのは初等教育を終えた子が殆ど。中学を終えて加入する方が珍しい。……が、Aの知識量はそれすら超えている。今も、一回りも離れる先輩たちと対等に会話してるし。
ただの憶測は確信に変わる。ゾディアックを最初に示唆したのも彼女。Aがいなかったら、ここまで深く知ることもできなかったんじゃないか？
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
