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私がただ純粋に、00を好きだった頃の。お二人とツバサさんの関係を垣間見たところで、それぞれの作戦には進展があったか訊いてみた。だが、特別報告するようなことはまだ何も。
現在フライングゲットは射手座星の防衛ライン、ギリギリに待機している。これ以上近づいたら気づかれる……か。今はWOTAの連絡待ちをしながら周辺宙域を警戒中とのこと。これに関してはOPで事足りるため、実質は任せているらしい。
「じゃあ……ひとつ聞いてもいいですか？」
「うん？ 私たちに？ 瑠璃が珍しい」
「いいよ。あたしらに分かることなら」
言い方も分からなかった。悩み相談も、違う気がした。
ただ自分ではいくら考えても答えは出ない。解決するためにとりあえず頑張っても、届かないんだろうなと思ったから。みぃちゃんも先生も、それを経験して輝ける人たちだ。知らない感覚を知っている。
「二人は、どうやって襲名したんですか？」
「「…………」」
数秒、止まったみたい。先輩たちは顔を見合わせた。二人ぐらい仲が良ければもう目を見ただけでお互いの頭に浮かんだことまで見えてしまうんだろうか。何故か声を出さず、ジェスチャーで会話を始める始末。
あのー、無視しないでください。尋ねたの私なんですが。唇を少し尖らせて待った。思ったけど口には出さない。やり取りは、OP席から「みぃさん、咲和さん。後輩の質問放置はどうかと思います」と飛んでくるまで続いた。
今のは8代目こもりんの声だ。こもりんの卒業は最近。抜けてから、まだ一年くらいじゃないかな。そのため記憶には濃く残っている。
「無視じゃないよ！ 咲和が失礼な目であたしを見てきたんだもん」
「見たくもなるって。聞く相手、間違ってんなぁって……。瑠璃、悪いけど美果子は規格外だからなんの参考にもならないと思う。襲名最速記録を持ってるこいつはなんていうか、理屈じゃないからさ」
「ちょっとー、それ言ったら咲和もでしょ？ あたしとこれ以上引き離されたくないから襲名熱出すって。しかも【大島優子】とか。わかりやすいんだから〜」
「…………やっぱお前ぶん殴る」
「えっ、待っ、暴力はんたーい！」
何を見せられているんだろう。とりあえず、どちらも私には理解できない次元というのはわかった。ていうかこれ、下手したら私への嫌味合戦だな。凡人に天才の気持ちは分からないみたいにさ。
指をポキポキ鳴らしてから拳を作る先生。緊張感を忘れそうになった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
