ラピスラズリ⑮【0048】 (ページ38)

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時は数時間ほど遡る。ツバサが、WOTA本部と交信が繋がった頃まで。

まずは現在地を伝えた。今は憤鬼星を離陸したばかり。この辺境惑星の、周辺にいること。次には状況だ。なぜこうなったのか、引き金となったかもしれない話はこのときは伏せた。とりあえずほぼ無事であることを告げる。

『実は……優子だけは、』

『？』

『あの子はセンターノヴァとなり、私たちの目の前で消えてしまったわ』

このことに関してもざっくりと。WOTAには研究生も襲名メンバーも、等しく00。扱いに差などない……とはいってもだ。9代目大島優子は総選挙で1位となり、グループの中心のひとり。目をそらしても入ってくる。あとで問われるよりはと、素直に伝えた。

WOTAは息を呑む。……そういえば、彼らはセンターノヴァをどういう認識なのだろう。WOTAは、時に共に戦ってくれるファンだ。キララや襲名の決め方など、世に出ないミステリアスな部分も魅力である00だとしても。

突然推しが消えたのに卒業の一点張りである運営に難色は示さないの？そういうものだと、彼女は星になったのだと。心の準備をする間もなく別れを告げられたのに「卒業おめでとう」なんて思えるのか。

『我々は、射手座星にいる凪沙さんと智恵理さんを救出する作戦を立てようと思います』

『ツバサ。私はWOTAと協力する、もうひとつの方は任せた』

こくり。彼女は咲和を見て頷く。

別の作戦も考えなければ。こちらも、あまり時間をかけたくない。神殿に避難した仲間や何より芸能を心の底から愛してくれる秋葉星住民のことが心配だ。秋葉星奪還作戦は急務である。

『こじはる達とも作戦を共有できたらいいのだけど……』

『あっ！それでしたら』

なんとかなります。その声は、明るい。交信先で「あれだ」「絶対あいつ」なんて口々聞こえた。ツバサたちにもわかるように説明した。

WOTA間の連絡はプロテクトをかけているため、一直線でも構わない。しかし00へはそうもいかない。交信をキャッチされて、場所を特定される恐れがある。

そのため……芸能を解放及び推進派の惑星のサーバーを何重も経由する交信プログラムを、各支部のWOTAにも協力を要請して昨日からぶっ続けで制作中。これが完成したら、こじはる側からフライングゲット号への連絡が実現するらしい。

『仕切ってる者は皆さんもご存知です』

『00……特にまゆゆさんとAさんのためなら必ず可能にしますよ』

『……それ、もしかして』

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