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話を戻そう。智恵理が勝手な行動したのは、私たちを何も出来ない人達だと思ったからじゃないよ、きっと。
彼方さんは相談してくれなかったことがショックなのかな？ それとも、後輩が危険な場所にいるのに力になれないことを悔やんでいるの？ 分からない、さっぱり分からない。
今度はちゃんと言う。凪沙はともかくとして、智恵理を心配する理由が分からないと。もっと言えば、智恵理には目的があるのにそれがどうして『助け』なんて発想になるんだろう。理解不能。
「……ですがA、智恵理はどのようにしてお父様に会いに行きますの？」
「どのように、とは」
「射手座星は、みんな知ってのとおり完全芸能禁止の星。いくら智恵理がゾディアック・コーポレーションのCEOの娘でも、00のメンバーが自由に動き回るなんて不可能だと思いますわぁ」
「……そうですね。智恵理たちを拉致して裁判させたり、本人が愛し愛するファンがいる秋葉星にDES軍を使って攻撃を仕掛けた。下手したら死んでいたかもしれないのに。道中はたしかに危険でしょう」
しゃがんでいたまりこ様は膝を伸ばしてしゃんと立ち上がる。そして、私の目を見てそう言った。うん、それはそうだ。彼女の言う通り。
でも、知っている。私と智恵理しか知らないこと、話していないことがまだあった。智恵理がいないところで話していいものか、少し考えたけれど。智恵理の父親が秋葉星急襲に深く関わっているとわかった今、多分怒られはしないだろう。そうなったらそうなっただ。
勿論みんなに責任は無い。私の自己判断。
「智恵理には味方がいます。だから、多分大丈夫です」
篠「……味方？」
「はい。園家の執事の、安永さんという方です」
総選挙の開票前日の休養日。私と智恵理が、朝から寮を留守にしていたことはここに居る全員が知ってるよね。あのとき私たち、その人に会いに行ってたの。智恵理は自らに覚えのないアイガール食品のCMについて訊ねる為に安永さんに連絡したと言っていた。
すごいなって思ったんだ。だって、彼女は夜にメールしたというのに翌日には秋葉星に来てくれるんだもん。フッ軽なオジだった。安永さんという方は、智恵理を小さい頃からお世話している人でもあるらしい。
……驚くことはまだある。彼は、一言も00を辞めろと言わなかったのだ。智恵理が00になるために家を出てから、彼女をただ心配していたらしい。その目は、嘘をついているようには見えなかった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
