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ツバサさんは目の前でドリンクのパネルを操作する。自身のドリンクの他に、缶ジュースを三本。それを私たちに、ひとつずつ渡してくれた。
射手座星に向かった仲間のことはWOTAからの連絡待ち。牛山先生は腕を組み、今後のことを考えているのか真剣な顔である。「それが判明するまでは……別の作戦を」。彼の言葉の意味をいち早く理解したツバサさんとみぃちゃんが頷く。
気持ちが流行るたかみなさん。彼女は立ち上がる。ゆきりんさんももしかしてというように驚いて開いた口元に手を持っていった。そう…………別の作戦、もとい。
「秋葉星、奪還作戦ですね！」
我らがキャプテンの明るい声の後、ツバサさんは落ち着いた様子で首を縦に振った。遅れること約十秒、私とゆきりんさんも地に足をつける。……そのすぐ後である。
ふと大きな窓に視線が行った。誰に呼ばれたわけでもないのに何故か引き寄せられる。窓枠に手をかけて外をのぞきこんだ。あぁ……見えてきた。まだゴマ粒ぐらいの大きさで遠いけれど、あれが射手座星。
「完全芸能禁止の星……ね」
凪沙と智恵理はあそこにいる。
だが仲間のためとはいえ、安易に踏み入れるわけにはいかない場所。想いのままに駆け出せば、捕まえてくださいと言っているようなものだ。
..
艦内のとある通路。研究生と麻里子が集まっていた。忽然と姿を消した二人の77期生の行方が気になり、A以外は揃っている。
智恵理の現在位置を追ってフライングゲット号はここまで来た。誰に言われたわけじゃない。時間が経ち、少し冷静を取り戻した何人かは智恵理が何故こんなことをしたのか薄々勘づいていた。強化ガラスの向こう側に見える星を、眺める面々。
「あれが射手座星ですの……？」
「あそこに、なぎさとちえりがいるの〜？」
「間違いないよ」
麻里子の声には思わず心配が滲んだ。ここから見える射手座星は濁った雲と、ダークブルーに覆われている。熱海星の綺麗なターコイズブルーとは似ても似つかない。同じ青でこうも違うものか。
宇宙の景色は変わらない。そのため、船の中では時間感覚が麻痺しそうになる。星空が見えても現在は朝。午前八時を過ぎた頃だった。深夜も活動していたみんなは空腹を告げられる。
楚方と友歌もさっきまで織音と腰掛け、経口食品を頬張っていたけれど。目的が迫ってきて、今は射手座星に意識が向いていた。
「智恵理はきっと……お父さんと、決着をつけるつもりなんだと思う」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
