726# 扉は見えた ／XXIV ページ26
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凪沙と智恵理の姿が見えない。……ということで、数十分前には捜索のために他のメンバーは船内と周辺を走り回った。それなのに今は閑散としている。それぞれ気が合う仲間と固まっているのだろうか。
窓のある通路に出ると、向こう側には宇宙が見えた。いつのまにか憤鬼星を離陸している。うん、智恵理たちの居場所を特定する時間は充分にあった。ツバサさんも、彼女たちがどこへ向かっているのか目星がついたらしい。
「……あっ、」
「？」
みぃちゃんが何かを見つけて声を上げる。視線を追った先には…………憤鬼星に着陸する前までいた、L字型の談話スペースがある。そこには人影が四体。輪の中には世話焼きなあの人の姿も。
ちょっと見ていただけ。だが、右手を腰にあてるツバサさんと目が合ってしまった。スルーをするのも不自然である。何よりその面子。何か、大事な話でもしていました？
私とみぃちゃんは四人がいる方へ。ツバサさんが私たちに気づいたら、後の三人も遅れて私たちの方を見やる。その内の一人、たかみなさんも。一人になりたい私のところに何故かみぃちゃんを寄越した彼女。私を見るなり「もういいの？」と心配が滲む声をかける。
「はい。みぃちゃんと話して、少し元気になりました」
「そっか、よかった」
「……みぃちゃんに、たかみなさんの差し金ってことは聞きました。お節介ですね。でも、ありがとうございます」
気持ち程度に会釈をした。すると、ゆきりんさんから「ふふっ」と軽やかな笑い声が。続けて「たかみな、Aのこと気にしていたから」。
ふうん、へえ。思ったより心配かけちゃってる。あのときはいつもより余裕がなかったかもしれない。理由も無いで、大丈夫の一点張り。あれでは逆効果だ。また、色々お世話になってる先輩に対して返答としてもよくなかった。反省だな。
「丁度良かった。Aも、これを見て」
「はい？」
ツバサさんの手元には…………あれ？ それ、みぃちゃんのデジカメじゃない？ フンギーと歌ったあのとき、みぃちゃんはそれを動画で撮っていたらしい。今からこれを、たかみなさんとゆきりんさんに見せるところだったとか。
撮影した本人は、船に帰還してすぐにツバサさんのところへ。先生たちも揃って映像を確認し、思ったことがあると言う……。視聴する前に端から私、たかみなさん、ゆきりんさんの順に腰掛ける。そうしてから、真ん中のたかみなさんが右三角をタップして再生した。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
