724# 二人だけの秘密 ページ24
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智恵理は良くて、なんで私じゃ駄目なんだろう。何も知らない頃はそんなことも思っていた。同じ研究生で、77期生で。お披露目前にキララがついてきたのだから、これくらい僅差である。なのに、いつからこんなに。
ねえ凪沙。あの子と差が生まれたことに悩んでいたのは君だけじゃないよ。私もなんだ。スタートも、アンダーを任されたのも同じタイミング。じゃあ、はっきり順位が決まる総選挙で智恵理に勝てたら…………見てくれる？
「馬鹿みたい。センターノヴァが目的なら、私がみぃちゃんの視界に入れる可能性は最初から0だったのに。ま、それが分かったから、今はファンがもっと愛しく思うけど」
「……あたしが言えた義理じゃないけれど、Aはセンターノヴァになりたいとか思わないの？」
「全然」
理由は二つある。ひとつは勿論みぃちゃん。私が彼女を好きになったのは、センターノヴァと呼ばれる以前の5代目峯岸みなみだから。その称号に惹かれて惚れたのではない、そして私が好きな人(のよう)になりたいわけでもない。
忘れもしない、星暦37年7月7日。私の故郷である双湖星で00がライブをしてくれた。当時は完全に解放されてはなくて、特にライブは芸能管理局が口出しをする程に厳しく取り締まりがあった。
でもこのライブがきっかけで芸能が後に完全に解放される。『LOVE修行』のとき、セリーに乗ったみぃちゃんが目の前まで来てくれて目が合ったのだ。手を伸ばしたら笑って重ねてくれたこと、私は今でも覚えている。あの日からみぃちゃんが大好きになったから。
「11年前は15……じゃない。7日なら14歳のときのライブ、」
「覚えてないんでしょ」
「い、いや〜〜……ファンとのことを忘れるわけないじゃんじゃーん！」
「気ぃ使わなくていいよ、私そういうの気にしないし。10年以上前の記憶なんてある方が珍しいって」
……で、もうひとつの理由は。あっちゃんがセンターノヴァになる前は、7代目まりこ様もといツバサさんが『上からマリコ』を歌っていた。
「あの曲をあっちゃんがセンターで歌うのはおかしいじゃん。だから、運営は封印したんだよね？」
「そうそう。現に、あたしが卒業後に『上からマリコ』がライブでも歌われるようになったわけだし」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
