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故郷は完全芸能禁止の星。加えて家族がDES軍と協力関係にある。それなら智恵理も、凪沙と同じ。応援されてオーディションを受けに来たのではない。勢いで飛び出した。当初は行方不明のニュースまで流れていたし。
おそらく今頃、射手座星に向かう宇宙船の中かな。凪沙までいないのは駆け出した智恵理を追いかけて成り行きで……ってところ。凪沙は誰よりも彼女の近くにいた。秋葉星を追われてからではない、もっとずっと前。最初からだ。
「割と早い段階でこの仮説は頭の中にあったよ」
「……なんで、みんなに言ってあげなかったの？」
え、だって面倒だし。また説明しろとか、どうしてそう思うのか聞かれるんでしょ？ いやいや、今までのことを踏まえたら誰でも分かると思うけど……。私からしたら、その発想に至らない方が不思議である。
誤解しないように言っておくと、見下しているわけじゃない。大切なものが違うだけだ。秋葉星での日常を取り戻すことは共通して頭にあるかもしれない。だが智恵理に限っては、その未来を掴むには実父を避けては通れないだろう。
ちなみに私には全部同じだ。秋葉星も、彼女の問題も。それ以外……自分に関することも。身の回りの事象は等しくそこに存在する。私は『どれが最も』の判別ができないの。どうせ他人事にしか思えないから。
「GPSで追えば……まで持っていくの、大変だったわー」
「えっ、もしかして計算！？」
「やだな人聞きの悪い。せめて誘導って言ってよ」
友歌と真琴が走り出して、次にはゆいぱるさんまで外へ見に行ってしまった。…………止める方が手間だなぁ。ま、万に一つぐらいはこの船の中にいるかもしれない。確かめたわけじゃないと、とりあえず波に乗ったまで。
ここからどうして繋ごう。自然な流れでツバサさんたちに任せるには…………うーん、なんてね。織音と艦内を駆け回ったりしてる間は実はそんなことを考えていた。
「人によっては私は最低なんだろうね。自分のために、仲間に嘘をついている」
「それを言ったら……あたしやツバサ、だって。目的のためにメンバーを利用していた。Aは全然違うよ。あなたの嘘は自分と仲間、どっちもちゃんと守れてる」
「…………！」
そんなふうに言われるなんて思ってなかった。思わずみぃちゃんを見たら、彼女はにっこり笑顔。私に手を伸ばし、そのままがっしりと顔を掴んだ。…………ん？
「だから、Aが気に病むことは何一つないの！」
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
