703# 誰にも負けない洞察力 ページ3
▽
私たちはDES軍のせいで足止めをされているに過ぎない。それがたまたま憤鬼星だっただけ。ここの問題に首を突っ込んで何になる。親交を深めても、どうせ近いうちに去るのにと思った。
だが、このまま放っておくわけにもいかない。独断での行動で何かあったらどうするんだ。
加入当初と比較すれば、メンタルが幾分強くなった織音。だけど、普段は変わらずに凪沙や友歌の後をついてまわる印象だ。そのため、ツバサさんに詰められてもあんなふうに声を荒らげて走っていってしまうなんて予想外。驚いた。ついさっき怖い思いをしたはずなのに、意外である。
「っ……！」
「友歌？ 待って！」
「凪沙っ……」
織音が消えた森の中へ、十数秒置いて友歌も駆け出す。それを追いかける凪沙、さらには智恵理まで。ツバサさんや真琴たちの制止には応じない。「はあ」。反射的な一息がツバサさんと重なり、思わず互いの目を合わせた。
呆れている。そうとも取れるが、こんな状況で私が冷静であること。それは奇妙だろう。ツバサさんは前置きを省いてこう言う。「貴方の頭には何が浮かんだの？」と。見透かされているなぁ。
「まずは……さっき襲ってきた生物こそが、鬼の字を用いたフンギーなんじゃないかって思いました。それと、」
「それと？」
「キノコは、水はけが良い場所に生えるものです」
彼らによって、私が先程まで横になっていたテントはもう見る影もない。シートは裂かれ、骨組みもグチャグチャだ。注目すべきはその周り。フンギーと思わしき生物たちが踏み荒らしてえぐれた地面である。
それを手で掬う。水分を含んでいるのだとしたらおかしい。ま、この惑星特有なんて言われたらお終いだが。それでも不思議だよ。キノコまみれの環境の下に、こんなサラサラした砂のようなものが埋まっているなんて。
「これは……デュアリウム！？」
「なるほど。これが……」
海辺の砂浜とは異なり、灰色。まだ辺りは夜闇に包まれているというのに空の星のようにキラキラしたものが混じっていた。砂じゃないとしたらなんなのか。これにより、私の仮説は考えたくない方向へ舵を切ってしまう。
艦長室に繋ぐツバサさん。今すぐ地層について調べるとのこと。目の色が変わる。でもね、まだ話さないといけないことがあるんです。
「説明は後でします。今すぐ織音たちの元へ、LASの護衛を向かわせてください」
私の推理が当たったときは。
「最悪の場合、死人が出ます」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
