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…………。私にできるのはここまで。後は大人たちに任せて休憩したい。時間帯で言えばもう少しで明け方くらいだ。
周りが凪沙と智恵理の行方を心配するのを横目にそんなことを思う。非情だとか、こんなときまで冷静だとか。傍からすれば、私の態度はそう言われても仕方がないかもしれないけれど。でもね、正直。ちょっと疲れちゃった。
「たかみなさん、少し休んできてもいいですか？」
「うん。一人で平気？ ウチがダメなら才加とか、」
「ん？」
「大丈夫です」
呼ばれたと思って、才加さんの意識が一瞬こっちに向く。だけどいい。今はそういうの足りているから。むしろ一人になりたい気分。私は軽く礼してからその場を後にする。
私は姉妹で妹がいて、00になってからも寮で共同生活をしている。だから……集団は慣れているはずだ。こんな状況で大変なときに私のことで迷惑かけたくない。大丈夫だ、私なら大丈夫にできるから。私より、先輩たちは自身のことだったり他の子たちをみてあげてください。
ステージの袖には誰もいない。人の通る道に最低限の照明があるのみ。私は段差に腰かけた。手すりに頭をよりかからせる。そして、携帯の電源を入れた。憤鬼星に降りる前に見たときからまたメッセージが届いている。
それらに目を通しても、私は何も返せない。指を動かしてはいけない、喉まで出かかった言葉を形にしてはならない。ひとつ発信すれば命取りになるかもしれないんだから。
「それでも、辛い。言いたいことを何も伝えられないのは苦しいよ」
聞いてほしい。飲み込む度に神経をすり減らす。それだけじゃない。周りを見て、上手くいくように色んなことを考えているおかげで脳はフル稼働だ。みんなとずっと一緒なことも合わさり、休めるときがほぼない。
こういう不測の事態では本性が出やすい。人によって言えることと言えないことがある私は顕著だと思う。だから、一時も気が抜けないのに。さっき、みんなと歌った後で急にスイッチが切れたのだ。間髪入れずにたかみなさんに声をかけられたから気づかれたのかと思った。
見栄っ張りなのかなぁ。たしかに表面上は取り繕うのが得意、それで中身はぐちゃぐちゃだもん。いつも、絡まった糸を解いてくれるのが風鈴たち【君ガチ】のみんな。それが断たれている今、私のSOSは誰にも届かない。
「………………」
また既読をつけて、少し凝視してから。
電源を落とした。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
