716# どこにもいない ページ16
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挨拶を済ませると、ふと友歌が気づく。凪沙と智恵理が見当たらない。あれ、本当だ。襲名の人たちと先に戻ったのかな？ ここにいないってことはそういうことになるよね。呼んでもやはり返事はなし。私たちも早く行こう。
そんなわけで。最後まで残っていた才加さんとまりこ様のお二人と、研究生で船に帰還した…………けれど。
梅ちゃんさんから離陸前に点呼を指示された。全員揃っていることを報告するらしい。襲名メンバーは全員いる、研究生は……。彼方さんが凪沙と智恵理と行動したメンバーはいないか訊ねると、驚くことを言われてしまう。
「え？ 彼方たちと一緒じゃないの？」
「違います。皆さんと先に……」
みぃちゃんと戻った佐江さんたち。ゆきりんさんたちと戻ったたかみなさんたち。そして才加さんたちと戻ってきた私たち。誰も凪沙と智恵理を知らない、見ていないと言う。二人は忽然と姿を消してしまったのだ。
いの一番に声を上げたのは「っ、凪沙！」と友歌。続いて真琴も「智恵理！ どこ行ったんや！？」。事の重大さに気づいたメンバーが船内に散っていく。「外も見てくる」と、ゆいはんさんとぱるるさんはそちらに。
織音は結晶を抱えたままでは走れない。見かねたまゆゆさんが預かると申し出てくれた。更に、ツバサさんへ代わりに渡してくれるらしい。織音もみんなから遅れること数十秒。こっちを探そうと指さす私の後を着いてきた。
「凪沙〜！」
「智恵理、いたら返事して〜！」
耳を澄ませる。けれどもその場は変わらずに沈黙している。通路から誰かの走り回る足音が微かに聞こえるだけ。ここにはいない。他の場所はどうだろう。捜索すること15分。やはり二人は見つからなかった。
友歌と鈴子は電話を試みるも、それも叶わず。フンギーに起こされ、凪沙と智恵理も駆け出したメンバーを勢いで追いかけて行ったのだ。凪沙のは壊されたテントを片付けてくれたきたりえさんが預かっていたらしい。智恵理は……。
「ダメです。智恵理さんも繋がりません」
「そんな……」
「コール音はしたので、電源は入っているようですけれど……出ませんね」
ふむ。じゃあ、GPSを追えるんじゃない？ それを口にすると何人かはハッとする。智恵理の場所を特定することも含め、とりあえずツバサさんにこのことを報告すべきだ。
これだけ探しても本人たちがいないんだ。何かあったとしか思えない。報告には彼方さんと友歌、織音が向かった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
