713# モヤモヤ ページ13
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「凄かったね、さっきの光……！」
「本当。みんなとひとつになった気がした」
新しいキララが生まれるほどの輝き。藍花星ライブと同等の盛り上がり。私たちは言語が異なる種族相手にやってのけたのだと思うと、高揚はまだおさまらない。あの大きなデュアリウムの結晶は依然輝いている。優しい光。
……温かい。みんなのキララと飛び回っていた私のキララがこっちに戻ってくる。ふと片翼のこの子を見て思う。左右に翼が無ければ鳥は空を飛べない。でももし、誰かが手を貸してくれたら……？
一人じゃできなくても、みんながいれば。この方法が通じないなら他の方法を試してみればいい。私は危険やリスクばかりに目を向けていた。けれど……織音があのとき勇気を出していなければ、この未来はありえなかったんだ。
「ん？」
「フンギィ〜」
「モフモフ！」
「え？ すごい結晶……」
モフフはお母さんの元へぴょこんと帰る。そして。
フンギーが、織音の体の半分ほどは高さのある結晶を彼女へ差し出した。受け取れ、ってこと？ 織音の目の前に更に突き出す。光が反射し、とても綺麗な青だ。受け取ったそれを織音は抱きしめて頬を寄せた。
「今、聞こえた！」
「えっ」
「聞こえたって？」
「フンギーたちが、『ともだち』って！」
子どものフンギーは嬉しそうに飛び跳ね、大人のフンギーはそうだと言うように大きな口は弧を描く。私の憶測が事実となり、結果的には00に良い方向へ働いた。理屈としては。でも褒められるべき功労者は…………。
すごい、本当にすごいよ。誰かのために走れる織音も、歌を始めてくれた才加さんも。そう思ったら、なんだか私は場の空気に紛れていないような気がした。
だって……この
みぃちゃん曰く、彼女がもらったのもデュアリウムらしい。ただでさえ稀少なものを、あんな塊で。
「難しい顔してどうした？」
「……たかみなさん。なんか、羨ましいなぁって」
「羨ましい？」
「自分に無いものを持っていたり、できないことをできる人って尊敬するじゃないですか」
本当を言ったつもり。
でも数秒の沈黙を経て「それだけ？」。私はいつから演じるのが下手くそになったんだろう。それか、彼女が……。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年11月16日 23時
