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二人とも、結局声はかけず。でもあんな姿を見せられたら……。部屋に戻ったりお風呂へ行けるような気持ちにはならない。ゆきりんと共に、センターノヴァの写真が飾られている談話スペースに腰を下ろした。
そういえばここは……前に、Aに泣かされたソファだ。泣けなかった私を、素直にさせてくれた場所。まさかこんな心持ちで座ることになるなんて夢にも思わない。
「最近の優子さん……普段は、いつもと変わらないのに。時々、さっきみたいに話しかけにくい……。そう、なんだか……」
「なんだか？」
「………………聖人、みたいです」
ゆきりんにとって優子は後輩だけど襲名においては先輩。入った順番に関係なく尊敬している。9代目大島優子は見ている人を元気にするような存在感がある。見習いたくなるような向上心も。研究生に限らず、その姿に憧れるメンバーは多い。
自分もそのひとりだ。メンバーとライブのことが何より大事。高橋みなみである自分も、優子を見ていた……つもりだった。
胸を押えながら言うゆきりん。聖人とは徳が高く、思想が立派で気高い……生き方において他人の模範となるような人のこと。優子も技術が優れ、人望がある。現在ではエースと呼ばれて誰彼に尊敬されるメンバーだ。あの子がいれば大丈夫。心強いと我々メンバーだけではなくファンにも思わせる。
「……ウチ、見たことあるんだ」
「え？」
「ああいう人。みんなと笑いあって、みんなに好かれて。 …………でも、簡単に近づいちゃいけないって思う」
「…………」
みんなの中にいても、どこかひとりを感じさせる人。
頭の中にはその人たちの姿が浮かぶ。横顔は笑ってなんていない。さっきの優子みたいに必死で、ああいうときはひとりで戦っているように見えた。
「あっちゃんのことね……」
声の方には、二階から降りてきたツバサさんがいた。そして……後ろから咲和さんも姿を見せる。ツバサさんがこんな時間に寮に来るなんて。揃って、レッスン後の牛山先生と打ち合わせでもしていたんだろうか。
ツバサさんたちに聞こえていたらしい。ゆきりんの襲名前に、あっちゃんは襲名してセンターノヴァになった。……だから当然だけど、あっちゃんが当時の練習中に見せていた顔を彼女は知らない。
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□補足(設定)
41年：70期加入(��前田など)
42年：71期加入(綾子)→��前田→センターノヴァ
43年：72期加入(光など)→��大島→�η靆�
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
