648# 卒業の理由 ページ48
▽
話をまとめるとこう。まず6代目ゆいはんは、消えたことにより「卒業」として発表。本人曰く、光に飲まれた後は知らない場所にいた。仲間はどこにも居ないけれど、歌声が聞こえる……。あたたかくて心地よかった。
『…………』
『あなたは……7代目とも〜み？』
『一緒に来る？』
手を差し出されたらしい。彼女はそれを取ることにした。だが、重なる直前でなぜか空を切る。歌声を追い、見上げた先には卒業したはずの歴代センターノヴァ
自分もあそこでみんなと歌う。ゆいはんは階段を駆け上る。…………どれほどの時間が経っただろう。ステージはまだ遠い。登っても登っても届かない。
無理なんだ、たどり着けないかもしれない。……そんなことを思った矢先の出来事だ。上ばかり見ていたゆいはんは足を踏みはずす。足場がガランゴロンと大きな音を立てて崩れていく。奈落の闇へ真っ逆さま。
「目を覚ましたときは病院のベッドの上。こっちの世界に戻ってきていて驚いたって。そこが秋葉星でもなかった上に、本人が00にいた最後の記憶は星暦35年。気づいたのは44年……長い月日が経っていたから」
凪「大丈夫、だったんですか？」
「うん。現在は定職について家族もいて、平穏に暮らしているらしいわ。ゆいはんは今はカメラマンをしているあたしを知り、コンタクトを取ってきた。そして、センターノヴァについて互いに知っていることを話し合ったの」
みぃちゃん曰く、6代目ゆいはんさんにも同じように見えていた。違うのは感じ方。みぃちゃんは恐怖だったけれど、こちらは真逆。不快感は一切なかった。向こう側の存在を知らないはずなのに『行きたい』と思ったらしい。
……と、ここで疑問。どうして消える者とそうでない者がいるんだろう。それについても順番に説明してくれる。
「センターノヴァの発生条件と、消失条件は違うわ。発生条件は……秋葉星でのライブ、そして……天候不順。さらに、戦闘を伴うライブの三つ」
「「…………」」
言われたもの全てが引っかかる。私たちは見に覚えがあるからだ。DES軍による侵攻にはそれらが揃っていた。なるほど。つまり生まれる可能性は充分にあったということ。
……ん？ でもちょっと待って。『秋葉星でのライブ』なんだよね？ だけど、みぃちゃんがなったときって。
「まあ……ね。あたしが一応呼ばれ始めたのは、とあるゲリラライブの後から」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 34人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
