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目の前の人が忽然と消えるなんて現象を普通なら誰も信じない。けれど、あっちゃんは光に飲み込まれて消えた。優子さんも輝きの中で消えてしまった。これは現実に起きたこと。ま、厳密に言えば引きずり込まれたが正しいが。
みぃちゃんが言っていた、人の形を成したキララ。捕まえる。言い方を変えれば「求めるように」。
「あのまま続けていたら……あたしもきっと」
うん。おそらく、同じように向こう側の世界へ連れ去られただろう。眉間の皺が険しい。みぃちゃんにしては珍しく語尾を伸ばさず、真剣だった。
一部のセンターノヴァはライブ中に謎の失踪をした。その理由は、輝きすぎたために向こう側の世界へ……。何のために、どうしてそんなことが？ 分からないことはそこを尽きない。とりあえず思うのは人間は残酷だってこと。
人は危ういものに惹かれる生き物。だから、危険と言われるセンターノヴァ制度に沸き立つ。一度きりの人生、一度きりの青春。少女はアイドルとなり、真ん中で最も輝くとき消えてしまう………。「卒業？ じゃあ次は誰だろう」って。フィクション映画かよ。私たちは実在しているのに。
「センターノヴァになった方たちは、みんな……その世界に？」
「いや？ 殆どの人達は普通に卒業しているはずだよ」
「……でしょうね。だって運営は『そういうこと』にしたもの」
たかみなさんはメンバーになって長い。まりこ様が訊ねたら首を振った。消えたメンバーはひと握りだ、と。でもみぃちゃんはやけに意味深なことを言う。これにハッとしたのは、00では一番後輩のはずの同期・智恵理。
優子さんに以前言われたらしい。みぃちゃんの前のセンターノヴァである6代目ゆいはん、それより前だと7代目とも〜み……他にも。彼女たちは現在も行方不明……？
早い加入だったたかみなさんは「そんな……！」。本気で知らなかった反応だ。
「優子は誰よりもセンターノヴァを目指していた。なるために歴代メンバーの研究もし、その間に真実を見つけたってところじゃない？」
彼「なんで、あなたがそのことを知ってるんですか」
「……実際に会ったからよ。あたしの前、先代のセンターノヴァ。消えたはずの6代目ゆいはんに」
！！！？
6代目ゆいはん。鈴子の話では、現役のときは8代目きたりえと仲が良かったんだっけ。卒業後はパタリと名前を聞かない。行方不明と言われる人に会った！？ 元センターノヴァ同士の邂逅に全員が息を飲んだ。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
