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限りなく黒に近い疑惑。彼女と実際に顔を合わせて話をする前に聞いておきたいことがあった。秋葉星から脱出したこの船の中には、みぃちゃんの同期で今は私たちの先生である元00メンバーが乗っている。
葵平先生は、おそらくメンバーやツバサさんよりも心を痛めているはずだ。現役時代、5代目みぃちゃんと8代目ゆうこは同郷の幼馴染で親友と言っていた。今の00でいうなら、佐江さんと恵さんのような関係。
ツバサさんが、先生とも通信を繋げてくれた。今からみぃちゃんに話を聞きに行く旨を伝える。私たちはてっきり、重い腰を上げて「行く」と返ってくるもんだと思った。
『私は、いい……』
「「「………………」」」
『おかしいよね。自分でもそう思う。ずっと話して欲しかったはず、なのに。…………あのね、えっとさ。私も以前までは「話して」って思ってた。卒業当時や色んなこと……』
きっと私たちにはわからない。メンバーも、私みたいにファンも。ステージに立っていたあの人を誰よりも傍で見ていた人しかわからないんだ。
彼女の声に涙が混じる。冷静を取り戻したいかのように長い息をついてから言葉は続いた。葵平先生は前までなら聞き出そうとした。けれど、今回は違うらしい。こちらが上手となり、質問して強制的に答えさせる形は嫌だ。はっきりそう言った。友達って、そんなのじゃない……と。
『私、今ビビってる』
ツ『えっ？』
『変なの、美果子と顔を合わせることが怖いんだよ。だから……うん、たかみなたちの会話はツバサ同様に別の部屋から声だけ聴いてるね。あいつ個人のことは置いといて、私も「なんでこうなったか」は聞きたいから』
「咲和さん……。分かりました、任せてください」
ぷつり。ここでの通信を終わらせた。
私たち四人は凪沙と智恵理の二人と合流してから牛山先生が閉じ込めたという場所までやってくる。遠隔で解錠されると、扉が左右に開いた。中は薄暗い。外から飛び込んできた光に、みぃちゃんは反射的に顔を向けてきた。
「なになに、尋問ってやつ？」
六人でゾロゾロと入れば扉は閉まる。一応だ。逃げ道を防ぐためかな。余念が無い。声の調子はいつもと変わらないようだがどこか元気はない。まあ普段通りだったらおかしいけどね。
私たちは腰掛ける彼女を前に、横一列に並んだ。一番に噛み付いたのは彼方さん。この事態を招いたかもしれない人物と対面し、もう我慢の限界だったらしい。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
