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沈黙を破ったのはたかみなさん。本人も正直こんなことを言うのは辛いはず。だって、たかみなさんにとってのみぃちゃんって …………私は知ってるんだ。どういう存在かって。たとえ、みぃちゃんがDESの手引きをしたとしても。
たかみなさんが確認のつもりで改めて問う。ツバサさんからは、重苦しい声で「そのようね」と返ってきた。可能性が事実となり、一番につっこむのは佐江さん。何でそんなこと…………それは、誰もが知りたい。核心とも呼べる動機だ。
「…………」
『ツバサさん』
推測の段階でしかないあのことを伝えるどうか迷った。秋葉星にDES軍が押し寄せてきたのはみぃちゃんのせい。あの人が関係しているって……みんな、そう思っているから。大好きな彼女一人に責任を問う状況は中々に耐え難い。
でも、私は声をあげなかった。言っていたらみぃちゃんの苦しみをほんの少しは軽く出来たかもしれないけれど、あの突飛な話を誰が信じるんだろう。メンバーを更に混乱させるだけじゃないか？
私にはどちらが大切なんてわからない。……黙っていたら智恵理がツバサさんを呼んだ。『お願いがあります』と、言葉を続ける。彼女はみぃちゃんと話がしたいらしい。
『私の父はゾディアック・コーポレーションの社長です』
「『！』」
『ゾディアックって……』
襲名メンバーの多くは智恵理の親のことを知らなかった。そのせいもあり、たかみなさんを始めとし画面の向こう側でも何人かが顔を見合わせている。
その名前は、DESの機体を製造している会社のひとつ。よくは知らなくても00メンバーなら社名を一度は聞いたことがあるだろう。
『このことは研究生……そしてツバサさんに麻里子さん、ゆきりんさんしか知りませんでした。76期生の先輩方に知られたときは「DESのスパイ」だと疑われ、00をやめようと思いました』
「智恵理……」
『ネットで調べれば、DES軍の機体の前で私と父が映る写真も記事も出てきます……今、この事実を知った皆さん。襲撃には私も関わっているんじゃないか、そう思った方はいませんでしたか』
勇気を出して言ってくれた。それは同期である私たちや、彼方さんたちにはすぐに分かったはず……それと。今日までの智恵理を知ってるなら、どれだけ彼女が真剣にアイドルをしているのかは一目瞭然だ。
『皆さんのことが大好きです』。総選挙のスピーチで見せたキララの輝き。あれが嘘なんて誰が思うだろう。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
