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変わらないものも、たしかにそこにある。
今までと違うこと？ それは新たな魅力だ。さっきのまりこ様の言動に惹かれたのは真琴と鈴子、楚方。アイドルのオーラに引き寄せられたキララみたいに彼女の周りに集う。
「おぉ〜。Sっぽいじゃないっすかぁ、まりこ様！」
「ゾクゾクしました……」
「ずるいずるい〜！ みもまり〜、そなたのこともいじめて？ い〜じ〜め〜て〜よ〜！」
「こ、こらっ……楚方……！」
真琴たちの反応はまりこ様には予想外だったらしい。「えっ」「ん？」と、今度は彼女が目をぱちくり。果てには楚方だ。豊満な胸元に飛び込みギューッと抱きついた。「いじめていじめて」と言う楚方にみんなで笑ってしまう。
ただ私の頭にはもうひとつ。あのー、水を差すようで申しわけないんですけど。
「電車の時間、本当にやばいです」
ハッとする彼方さん。と仲間たち。我に返ったらしい。
私たちは戯れもそこまでにして駅へ走った。
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時は夕方。乗るはずだった電車には間に合った。私たちはできるだけ人のいない車両を選ぶ。左側の窓際には凪沙と友歌、織音が座った。その前でつり革に掴まるのは彼方さんとまりこ様。近くの乗車口から外を眺める楚方。右側の席には鈴子と真琴が座った。
私と智恵理は携帯片手に話していた。ツバサさんから明日の予定について連絡が来たからだ。最近は一緒の仕事が少なかったけれど、明日の撮影スタジオは同じらしい。で、終わったらそのままバラエティの収録で……？
「Aは……この、襲名メンバーのバラエティ番組『AKBINGO!』にゲスト出演したことあったよね」
「うん」
「私も色んな番組に出させてもらったけど『AKBINGO!』は初めてだから、上手くできるかちょっと不安で……」
「あー……。智恵理、お笑いは苦手意識あるもんね。先代ともちんさんみたいなタイプ。中でも粉を被るのは嫌そう」
「……あれはみんな嫌でしょ？」
智恵理ではなくても、嫌かどうかなら嫌だけど。アイドルが普段見れない顔を見せてくれるし、美味しいと言えば美味しい。ま、できるなら避けたい。でもモデルやCM、ライブなど。それらは、言い方は悪いが見た目だけだ。
バラエティでは、内容によってはアイドルの中身がモロに出る。こんな一面も、とファンは知る。例えば「綺麗で可愛いチェリーだけど、そういう面白いところもあるんだ」と親近感を持ってもらえるチャンスでもある。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
