640# 裏切り者 ページ40
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連続するキララドライブ。DES軍は飽きずにどこまでも追う。撒いたと思っても少ししたらまた地響き。遠征艇の中は揺れる。どこかに掴まらないと、メンバーは立っていることさえできない。
秋葉星から撤退し、少し。束の間の落ち着き。そのとき彼女たちにもついに告げられた。今回のDES軍からの急襲を手引きをしていた人物がいたこと。それは、専属カメラマンとして中途採用された美果子だったこと。
誰もが驚いた。次に芽生えるのは怒りや混乱、悲しみなどさまざま。信じていたものに裏切られたような喪失感まで。各々が感情を顕にする。誰もが、もっと詳細を尋ねたい。
『ひとまず……空き倉庫に鍵をかけて閉じ込めているわ』
そう言われたところで、また船は大きく傾いた。通路にいたメンバーはガクンと体制を崩し、慌てて受身をとる。とれないなら首から上は守るように。話を続けられるような状況じゃない。
何もかもが八方塞がりだ。今はとりあえずDESの追跡を撒くことが先決である。加えて怪我人の手当、メンバーの所在を確認しなければ。美果子のことは無理やり横に置いて、彼女たちは目の前のことに向き合う。
ツバサは、まずはDESの包囲網から逃れることに集中。何度目か分からないキララドライブ。元はオペレーターを急かして準備させた手段だ。しかも、こんなに連続して行うことは滅多にない。船内はまた一際大きく揺れた。フライングゲット号からは白い煙が出ている。
「キララドライブ破損……、エンジン停止！」
「座標……特定できませんっ」
「迷子になっちゃったってこと？」
今いる宙域がどこなのか分からない。DESの目からは逃れられたものの、現在位置はunknownと応答せず。キララドライブのシステムも使用不可に。重なる使用によりエネルギーも足りないようだ。
ツバサは意外にも落ち着いた声色。あの状況から脱出することができただけでも奇跡だ。そう言うも、眉はつり上がっている。しかしいつまた襲われるか分からない。オペレーターにはキララドライブの修理にとりかかるように指示をした。
医務室には友歌や織音、楚方、鈴子、真琴の五人。真琴は頭に包帯を巻いている。怪我をして時間が経っていたために少し熱っぽい。今はベッドで横になっている。
傍らの鈴子も右腕が……。三角巾の端を首の後ろで結び、固定した。楚方は心配そうに彼女に密着している。友歌は織音たちに缶ジュースを渡すと「他も見てくる」と駆け出していった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
