636# 陥落／XXII ページ36
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00が秋葉星から撤退して少し。DES軍の兵士は戦闘機から降り、地上を踏みしめる。
彼らは逃げ遅れた又は身を隠していた人々にこう言う。……AKB0048は星を捨てて逃げた。命を懸けて戦うと言っておきながら、いざそのときになれば結局自分が惜しい。武器を捨てた。だが、こちらは皆さんをせめるつもりはない。だって……
「あなたがたは芸能や00というテロリストに洗脳されていたんだから。罪はありません」
「我々は、皆さんをわいせつな芸能から解放するために来たんです。もう大丈夫ですよ。D.G.T.Oは皆さんから芸能を断ち切り、正常な心に戻すために存在するんです」
最初こそ、人々は昔のように戦う姿勢を見せる。しかし……00が秋葉星を捨てた(ように見える)ことも事実。何を信じればいいのか分からない。それでも芸能に愛に、感情が動かされたのは本当だ。それを壊すDESこそ悪。
勇気ある住民は声を上げる。それに対して、気が短い兵士は銃を向けた。「お前は重症だな」と言い、引き金に指をかけるところまで行ってしまう…………他の人たちは悟る。彼らと自分たちとでは芸能に対する想いがまるで違う。余計なことを言えば、行動をすれば……殺されるかもしれない。それは圧力にも見えた。
何より00はもうこの星にいない。一方の皿には秋葉星とファン、もう片方には保身。それを天秤にかけて、呆気なくこの星を捨てたんだ。俺たちは、私たちは……
「騙されていたのか……？」
「そうです。憎むべきは我々DES軍やD.G.T.Oではなく、芸能。そのパイオニアでもあるAKB0048です」
マインドコントロールは既に始まっていた。DES軍が民間人にも躊躇なく手を挙げることは知られているが、殺しは不味い。表立って怪我をさせるのも。いざとなればゾディアックの後ろ盾があるため、もみ消すことは可能だ……が。
指名手配中の00ならまだしも、洗脳された何の罪もない人間を撃ち殺せば処分に困る。あくまで『DESがやろうとしているのは救助』。
分からない者は切り捨てるのではなく、思考や感情に影響が出るまで嘘を並べればいいだけの話。どうせ確かめる方法なんてないのだから。
「では続いて。皆さんを助ける方法をお話しましょう」
軍服をまとう男はにっこり笑みを浮かべながらも、内心では人々を見下していた。まず秋葉星を落とし、人々の心を支配する。芸能絶対防衛圏の住民が芸能に嫌悪するように仕向ければ、今後の芸能禁止活動がやりやすくなるだろうから。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
