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攻撃を避けない。四方八方からのミサイルは命中したようで大きな音とともに爆発した。爆風が私たちを襲うが、目を背けることはできない。凪沙が助けたい気持ちから手を伸ばす。智恵理も戦場へ向かおうとした、そのときも。
あの歌声は止まなかった。火薬と煙の中だ。どう考えたって息苦しい。歌なんて歌えないはず。なのに、どうしてか。優子さんの調子は変わらない。黒煙が晴れると……優子さんは白く光る球体に囲われている。
「なに……？」
「あの輝きはっ……！」
なんてまばゆい。キララの輝きが、優子さんを守ってくれたの……？ 輝きはまだ増しているようだ。もっと、これ以上。決壊したダムのように止まることを知らない。キララは高まるばかり。
他の誰よりもキララを強く輝かせることができるメンバーを、センターノヴァと呼ぶ。今の、目の前の優子さんの輝き。もしかしたら、センターノヴァになるんじゃ……
「だめだよぉ〜！ このままじゃ、ゆうこ！ 燃えちゃう！」
「！ 上を見て！」
「「え……」」
「あれは、ゲート……！？」
輝きが止まらない優子さん。その頭上を智恵理が指差した。そこにはキララドライブのようなワープの入口が開いている。なにあれ……。
待って、優子さん……「ゲート」に徐々に引き寄せられていない？ 光を高めすぎたセンターノヴァは消える。あっちゃんがその良い例だ。優子さんがキララを輝かせて開いたもの、そして引き寄せられている……まさか。
「優子さん、本当にセンターノヴァに……」
ライブ中に謎の失踪をしたあっちゃん。こんなのファンタジー、到底信じられない。……でももしそうだったら、この不可思議な現象にも説明がつく。消えたセンターノヴァは、ゲートの先にいるんじゃないか？
どういう引力が働いているかはサッパリだ。それを他所に、なぜかDESは途端に攻撃をやめた。今度は有人戦闘機が引き寄せられる優子さんへ何体も一直線に迫る。
『転がる石になれ』もラストスパート。優子さんは右腕を伸ばす。その手は中指とくすり指を畳んで「K」の形にも見えた。…………それは一瞬のこと。光の球体は一気に膨れ上がると視界を白で覆った。
「「「きゃああああああ！！」」」
耳を塞がなきゃと思うほどの破裂音。光に飲まれそうになる私たち。目が潰れそうで反射的にギュッと閉じた。音が消え、瞼の裏が暗くなって、再び目を開けたら。
そこには何もない、誰もいなかった。
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作者名：東雲れーた | 作成日時：2023年9月20日 10時
